投影モジュール付きスマホやデュアルディスプレイ・ウォッチで拡張性を強調
「レノボ・テックワールド」開催、新コンセプトを次々発表
2015/6/2
5月28日、国家会議センターで「第1回レノボ・テックワールド」が開催された。レノボ、百度(バイドゥ)、マイクロソフト、インテルという4大IT企業のCEOが勢ぞろいする、豪華な祭典となった。中国ナンバーワンの携帯電話メーカーであり、そして世界一のパソコンメーカーとなったレノボは、次にいかなるな新機軸を打ち出すのだろうか。
腕時計ディスプレイは小さすぎ? ならば20倍でどうぞ
[マジックビュー紹介デモンストレーションの様子]
最初の発表は、スマートウォッチ「マジックビュー」だ。世界初のデュアルディスプレイ・スマートウォッチとなる。資料写真によると、メインディスプレイは円形の文字盤型で、モトローラのスマートウォッチ「Moto360」のようなベゼルがついている。そこから手前に「長い首」が伸びていて、そこに1.5センチ四方のサブディスプレイが搭載されている。
非対称のディスプレイと保守的なベルトデザインはあまり評価されるものではないが、サブディスプレイには力が入っている。
一見、太陽電池のように見えるこのディスプレイは、「バーチャル・インタラクティブ・ディスプレイ」(VID)を採用し、のぞき込むとメインディスプレイのコンテンツが20倍に拡大されて映し出される。これによりスマートウォッチながら、没頭型の視覚体験が得られるという。
イベントでは個別にサブディスプレイの実効果を確かめる機会はなかったが、実演を見る限り、時計をのぞき込むように顔を近づけなければ、「没頭型体験」は得られないようだ。光学技術でディスプレイのサイズ問題を解決したとはいえ、腕時計を眺め続ければ肩こりがひどくならないか、電池稼働時間が短くなるのではないかといった技術的課題が残されている。
投影キーボードでスマホディスプレイを拡張
[世界的ピアニスト、ランランがマジックビューと「共演」]
「マジックビュー」同様のコンセプトモデルとして、上部にプロジェクターモジュールがついた「スマートキャスト」というスマートフォンも発表された。
ユーザーはプロジェクターを使って平面に投影することによって、ディスプレイをさまざまに拡張できる。「もっとPCライクに」という理想に基づき、レノボのこのコンセプトスマホはサブディスプレイとしても機能し、スマホディスプレイが展開しているコンテンツとは別のコンテンツを投影することもできる。
会場ではピアニストのラン・ラン氏による実演も行われた。「スマートキャスト」がピアノの鍵盤と楽譜を投影し、楊元慶CEOがそばでその楽譜を指でめくって、ラン・ラン氏と「合奏」するという一幕もあった。
英字ITメディア「The Verge」によると、レノボのタブレット「Yoga2 Pro」にも以前同様の小型プロジェクターが搭載されていたが、モジュール部分が大きく、電池消費量が多いこと、そして明るい場所で非常に見づらいなどの弱点があった。それに比べて、「スマートキャスト」はボディも小さく、またイベント会場の明るい光源の下でもはっきりとした可視性を実現した。
「低価格でベーシック」と「完璧なPC体験」に分けた伝統的PCライン
新機軸のコンセプトモデルが発表された一方で、レノボは本業も忘れてはいない。15インチディスプレイの「Z51」モデル、14インチの「Z41」モデルと、ミドルレンジのノートPC2機種が発表された。
海外ITメディア「engadget」によると、Z51には「インテル リアルセンス 3Dカメラ」が採用されている。これによって、スキャニングやゲーム、さらにハンドサインによるコントロールが可能となり、価格もやや高めに設定されている。ディスプレイはいずれもフルHDで、AMDのディスプレイカードが搭載可能となっている。最上位設定でCPUにCore i7、メモリ16GBを選択できる。
ノートパソコン「IdeaPad 100」も発表された。ディスプレイサイズは14インチ、15インチの2種類。解像度1366×768の非タッチパネル式。価格は249ドルからに設定されている。レノボはこのパソコンのターゲットを「中核機能を必要とする人たち」としており、低価格でベーシックなインターネット体験を提供するという。
そして、ビジネスマン向けの新型ノートPC「ThinkPad 10」では、10インチ、解像度1920×1200のIPSタッチパネルディスプレイを採用。インテルのクアッドコアCPUを採用し、最高4GBのメモリを搭載できる。バックカメラは500万画素で、LTEでのインターネット接続をサポートしており、連続稼働時間は10時間だという。
レノボではこれを、「完璧なPC体験」を提供する機種だとうたっている。ただし、キーボードやマウスなどの周辺機器をオプションで揃える必要がある。
モトローラ「Moto Maker」サービスが正式に中国上陸
「Moto Maker」とは、モトローラが提供するービスで、ユーザーがオンラインでスマートフォンをカスタマイズできるプラットフォームだ。バックカバー、フロントパネル、ベゼル、メモリ、刻印、保護ケース、起動画面、壁紙の8項目をカスタマイズすることができる。モトローラがレノボの傘下子会社となったことから今回、このサービスが中国にも導入された。
また同時に劉軍・執行副総裁が、人気女優のファン・ビンビンをモトローラ・ブランドのイメージキャラクターに起用することを明らかにした。
Moto Makerの中国地区でのサービス価格は2799元(約5万6000円)から。Moto Xのカスタムオーダーなら1〜2週間でユーザーに届くという。
(執筆:呉垠/ifanr.com 翻訳:高口康太、写真:ChinaFotoPress/Getty Images)
※本連載は毎週火曜日に掲載する予定です。
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