一時1ドル160円台に 市場は政府・日銀介入への警戒感続く
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デフレと低インフレが続いた日本の円は、強くなり続けてこそ価値が保てるのですが、10年以上もの長きに亘り、政府と日銀が組んで円の価値を積極的に毀損し続けたのですから堪りません。しかも日本のインフレ率は、いまでは米欧諸国を実態的に上回る勢いですから、その面からも円安圧力が掛かっています。10年以上も前から懸念していたことが、ついに現実となって顕れたような気がします。
物価に責任を負う、言い換えれば通貨の価値に責任を負う中央銀行は、金利を引き上げて通貨の魅力を高めてインフレを抑えるべきところですが、長く続いた財政拡張と異次元緩和で利上げに耐えられない経済構造を作ってしまった我が国では、その選択肢が簡単には取れません。かといって、この情勢下で政府が為替介入しても、投機筋を儲けさせ、更なる投機の機会を与えることになりかねませんしね・・・
IMFが今月出した2029年時点の一人当たりGDPを2019年と比べると次の通りで、我が国だけが完全な横這いに留まります。円安が災いし、世界の中で、日本国民は相対的に貧しくなり続けているのです。
円安で企業の利益が膨らみインフレが起きて賃金が上がったと喜んではいられません。交易条件が悪化する中で仮に今年に限って実質賃金が改善しても、過去の物価上昇分が取り戻せるほどでなく、このままの状況が続けば、中長期的に下がり続けるのは必定です。
イギリス 1.6倍
アメリカ 1.5倍
カナダ 1.4倍
ドイツ 1.4倍
イタリア 1.3倍
日本 1.0倍
円安で無理やり起こすインフレが日本を豊かにするとの幻想は、そろそろ捨て去るべきであるような気がします。難儀なことになって来ましたね (・・;ウーンある種のジャパンプレミアムが乗っている状況でしょうから、日本側からそのプレミアムを打ち消すようなメッセージを打ち出さない限り、投機のアタックは止まないのではないでしょうか。
それは、いわゆる総需要管理政策だけではなく、違ったかたちの政策運営への決意かもしれません。少なくとも、需要を刺激することではありません。
いずれにせよ、円安インフレによる痛みを負うか、違うかたちでの痛みを負うか、その両方か。残念ながら、いずれかなのではないでしょうか。