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歴史問題で日中韓に異例の苦言シンガポール首相

朝日新聞デジタル
シンガポールのリー・シェンロン首相は29日、日本と中国、韓国の間で認識に溝がある歴史問題に触れ、「日本は過去の過ちを認識し、日本国民も右翼学者や政治家の極端な歴史解釈を拒否するとはっきり言うべきだ」…
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日本は一般的な謝罪はしたものの、「慰安婦や南京大虐殺については、はっきりしない態度をとってきた」と正しい指摘。学問的には認定されている事実でも、政府には政治的理由からどうしても認めたくない事柄があるものです。
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<追記>
リー首相のスピーチ原文を読みました。かなり長くなりますので、まずは要点を。全体の文脈をきちんと捉え、安全保障の基本知識が無いと真意が読めないと思います。スピーチの小見出しに「バランス・オブ・パワー」とあり、その中でこの朝日報道の文言が発言されています。報道で引用された発言自体は確かにされています。しかし、全体の文脈できちんと読まないといけません。

リー首相は現代の国際秩序について以下の認識を述べています。
・米中が安全保障の軸になっていること。(このスタート地点は極めて重要)
・両国はアジア太平洋地域を、かつての米ソ冷戦のように分割するのでは無く、競争はあるものの、他国と協力して秩序形成をすることが望ましいこと。中国はTPPに、日米はAIIBに参加することが望ましい。競争もあるが協力関係にしていくこと。
・日本は右翼的左翼的な極端な意見を拒否すべき事。また、村山談話で謝罪しており、中国と韓国の度重なる謝罪要求は日本を守りに追い込んでしまい建設的では無いこと。


以下は詳細な私なりの解釈です。

言いたいことは、中国の影響力が不可避になっており、現在の覇権は米中が中心となっているため、建設かつ平和的に、この2ヶ国、特に中国が国際秩序形成に関与していくことが大切ということです。これがメインメッセージです。

その上で、米中はアジア太平洋を「vast enough」と認識しており、2ヶ国で全てを支配しようということではなく、地域的な多元性を容認しているという点です。「容認」というと上から目線ですが、安全保障のリアリズムはそんなものです。軍事プレゼンスの弱い国は、圧倒的な国に対してそのような立場なのです。

AIIBについては、インフラ開発需要に応えるものであり、国際秩序のなかで中国が協力しようという意思の表れとしています。この点、日本ではAIIBは事実上の中国銀行だということで、好き勝手融資して参加国を覇権の下に納めるという脅威論があります。しかし、それは違います。中国がバイラテラルで援助するという従来の方法から、問題はあるにせよ多国間枠組みで援助するようになったことが、国際秩序形成という点からは、以前よりはベターなのです。そして、リー首相はAIIBでの中国の役割は、IMFにおける米国と欧州、ADBにおける日本の役割と似たようなものになるだろうと述べています。

また、米国によるTTPを通じてアジアの国際秩序形成にコミットをしてきているという趣旨の認識をリー首相は述べます。

そして、リー首相は中国に対してTPPに、日米に対してAIIBに参加するよう呼びかけています。「競争と協力のモデル」と表現されています。

一方で、東アジアの領土問題についても触れられています。南シナ海問題での関係国による行動の応酬のエスカレーションに対して警告を発しています。そして、米国が中国に対して懸念を表明していることに言及し、国際規範に則った解決を求めています。

こうした米中についての認識を述べた上で、米中だけでなく、他の国も重要だとリー首相は述べます。ここで朝日の記事が言及した「歴史問題」が出てきます。70年も昔のことが、日中韓関係に陰を落としているとします。

リー首相は以下の通り述べています。朝日の報道は確かに発言のなかにあります。
・(朝日報道の通り)日本は過去の過ちを認め、右翼学者の意見や政治家の極端な歴史解釈を拒否すべき
・日本は20年前の村山談話で謝罪をしており、『中国と韓国は何度も謝罪を求めるべきでは無い。日本を守りの立場に追い込み、将来の世代に禍根を永続させるべきでは無い。寛大なる心こそが、両者を前進させ、不信感を減らし、協力を築き上げるのだ』と言明しています。

大切な部分なので原文を引用します。
"Japan’s neighbours need to accept Japan’s acknow­ledgements, and not demand that Japan apologise over and over again. The history of the war should not be used to put Japan on the defensive, or to perpetuate enmities to future generations. Only with largeness of heart can all sides move forward to reduce distrust and build up cooperation"

そして、リー首相はこうした和解をもってして、日本が普通の国になりたいという希望を叶えるのであると言っています。あとは、インドやASEAN協力などについて述べられています。

ここまで読んで下さった方は、朝日報道が引用した部分は間違っていないが、リー首相のスピーチは歴史問題を正面から取り合えた者では無く、国際安全保障についての認識を米中という軸がある事を踏まえた上で、その2ヶ国だけでは無く、日本、インド、ASEANなどの役割が重要であり、各地域間協力を前向きに進めていくことが重要だと主張しています。

このスピーチが行われたシャングリラ・ダイアローグは、安全保障対話です。従って、安全保障の基本知識を踏まえてスピーチを読むべきでしょう。リー首相も安全保障問題という視点から語っています。

シンガポールが小国である、安全保障上は吹けば飛ぶような存在であることを踏まえると、米中という2代覇権のバランス、そして、その次に力のある存在として日本、インド、ASEANがバランサーとしての役割を高めることで、自国の安全を確保するという極めて現実的な内容となっています。

一部だけを切り取り、その背景を読まずに批評することの怖さ。皆さんのコメントと併せて、大変勉強になりました。安全保障や歴史認識について、まともな論壇が日本にはありません。NewsPikcsがそうなるよう期待していますし、皆さんのコメントを拝見すると、立場や見解は違えども、きちんとした議論ができるのではないかという可能性を感じました。

毎回コメントが長めで申し訳ありませんが、国際安全保障はデフォルメ化することは極めて危険だと私は認識しています。文章技術はもう少し磨いて、多少短くすることを心がけます。まずは、速さを意識してばばっと書きましたのでご容赦を。

<オリジナル>
取り急ぎ原文はこちら。後ほど吟味して【追記】形式でコメントします。ぱっと流した感じ、文脈がありますね。一部だけで、ああだ、こうだ、ではなさそうです。

https://www.iiss.org/en/events/shangri%20la%20dialogue/archive/shangri-la-dialogue-2015-862b/opening-remarks-and-keynote-address-6729/keynote-address-a51f
最後の一文「They will welcome a resolution of the war issues, as they themselves have done between themselves and Japan.」(東南アジア諸国が日本と和解して許したように、日中韓の歴史問題の解決を望む)を知ってる若者ってどれだけいるだろうか。もはや国内では日本軍はインドネシアやフィリピンを独立に導いたヒーロー、みたいな、当事国から言わせれば正気の沙汰ではない言説がまかり通っている。シンガポールにもフィリピンにもインドネシアにも日本軍の侵略の爪痕が深く残っているが、これを侵略と書くと教科書検定で「愛国心教育に相容れない」「歴史的史実の解釈に関し、国として結論が出ていない」と削るか、「自主規制」圧力でそもそも教科書会社が書かない。70年談話などの表面的な内容よりも、実際教育現場でどうインプリメンテーションされているかが本質的・実質的に途方もなく大切だと思われる。これを若者がきちんと知っているだけで、どれほど”より尊敬される国”になることか。

バランス感覚ある発言。ちなみに、川端さんのがリンクを貼られていた原文にあたってみましたが、記事には間違いはないですよ。強いて言えば、なが〜い講演の一部分にすぎないこと(記事ではそれが伝わらない)くらいかな?
タックスヘイブンを撒餌にした金融立国は、シンガポールやリヒテンシュタインのような基幹産業のない小国のとるニッチ戦略(今やシンガポールの経済規模は大分大きくなったが、それでも日本・中国とは約15倍-30倍もの差がある)。

タックスヘイブンが存続するためには、国家の主権が維持され、地域の財政が統合されておらず、国際平和が維持されていることが必要。

この文脈で考えると、今回のリー首相コメントは何もシンガポールが聖人君子の大人の国だから出てきた訳ではなく、「米国さん、中国がでかい顔し過ぎないようにこれからもアジアでの見回りをヨロシク(中国に飲み込まれて負担を押し付けられると困る)」と「中国さんも日本さんも喧嘩ばかりせずにほどほどにしといてよ(緊張が高まると困る)」というのがシンガポールにとっての国益であるから
川端さんのコメントで、理解が圧倒的に深まる。特に下記は、IMFで米国が実質的な拒否権を持っている現状に鑑みると同意だし、課題はあっても前進だと思っている。
また、NewsPicksが論壇として機能することは、本当に重要だと思う。そのためには、全てを簡略化せず、専門家が立場が違っても議論をできる場があり、感情ではなく事実と価値観を基にした議論を行うことが重要だし、そのなかでそれぞれの専門知識を基に解説して下さるこういうコメントは、本当に価値が高いと思う。
『日本ではAIIBは事実上の中国銀行だということで、好き勝手融資して参加国を覇権の下に納めるという脅威論があります。しかし、それは違います。中国がバイラテラルで援助するという従来の方法から、問題はあるにせよ多国間枠組みで援助するようになったことが、国際秩序形成という点からは、以前よりはベターなのです。そして、リー首相はAIIBでの中国の役割は、IMFにおける米国と欧州、ADBにおける日本の役割と似たようなものになるだろうと述べています。』
この記事の発言がそのままだとすれば、そんなことは余計なお世話です、といいたいところですが、高名なリー首相が国際会議でそんな発言をするとは思えないので、原文をあたってみたいところです。
仰る通り。同じアジアの当事国でありながら、冷静かつ未来思考の合理的な発言であると感じます。
歴史認識はいつでもどこでも差のあるものですが、それがアジア、世界全体の発展の妨げになっていることは誰にとっても好ましくない。
川端さん、ありがとうございます!
米中2大国を基軸とし、加えて他のアジア諸国のバランスと協力関係について、現実的な指摘がなされていたことがわかりました。

日本では日米を基軸にして議論しがちですが、グローバルに見ると、間違いなく米中の存在感が大きい。ここをすっ飛ばして議論することはできないと改めて感じました。
欧州は経済互恵ではなく経済相互依存を深化させたうえで安全保障が構築されているのに対し、AIIBもTPPもその役割を果たすとは考えづらい。本来「環太平洋安全保障機構」と経済機構がセットになるべきなのに、混とんとしつつもアジア内ブロック化を志向している節が米中にある。政治体制の違いを超えて世論がどう動くか、大事な時期にある。
川端さんのコメントは必ず要チェックですね。
切り取られた一言及のみならず、全体の中でのコンテクストを考えなければ。この時期にこの発言をする一国のトップとしての意味とは。