『「アート」を知れば「世界」が読める』シリーズ①アートは仮説をもとに思考し、「問いかける力」をつける
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世界を大きく変えるとされているChatGPTなどの生成AIは、どのように「問い」を発するかで、引き出せる答えがまったく違ってきます。
事象に対する教養があること、自分独自の仮説があることが、有意義な「問い」を発するための重要な条件です。アートについて民族性や歴史などの教養を身につけたうえで、自分ならではの仮説を持てば思考訓練となり、問いかける力も身につきます。
「作家はユダヤ人で、この時代に描かれたのだから、このようなメッセージが込められているのではないか?」と仮説を立て、それをもとにじっくりと作品を見る。そこから感じることを、「ああ、すごい絵だ」「感動した」で終わらせず、「このようなメッセージが読み取れる」という思考にまで発展させていくのです。
アートの多くは、人間心理の内省や社会への問題提起ですから、「人間の差別構造を描いている」というメッセージが読み取れたとしても、容易に「では、どうするか?」という答えは導き出せません。
これは、価値観が多様化し、答えが出ない時代に注目される「深く思考する」ための良きトレーニング。ビジネスパーソンの思考の“道具”として、大いにアートを使っていただきたいと思います。
(出典)『「アート」を知れば「世界」が読める』(幻冬舎新書)から抜粋
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