東京五輪談合、博報堂に罰金2億円求刑 企業側へは初 東京地裁
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企業は経済的目的をもった組織体、社会の制度であるため、基本的に最大利潤を上げることを目的にしています。その目的達成のために企業内の仕組みが作り上げられてしまっています。例えば、ノルマの達成は賞与、昇給、昇進、昇格など、基本的にすべての「社内評価」と関連付けられる仕組みを企業は有しています。これが動機付けとなり、従業員は企業が求める行動をとろうとします。会社の為に貢献したいということもあると思いますが、それよりも、企業内で好待遇を受けたいという動機が「頑張りの本質」でしょう。企業はこれを十分理解しており、インセンティブを設定しているものと理解しています。
ほとんどの企業倫理の破綻のケースは、企業が従業員に「犯罪行為」の指示を与えて起こってはおらず、むしろ最大利潤獲得を追及するよう、従業員が自発的に「頑張る」結果、談合、贈収賄、独占、公害、欠陥商品、その他不公正な取引などの「倫理的問題」がつくり出されています。企業は見て見ぬふりをし、結果、企業に利潤が転がり込む仕組みになっています。
社会一般の事象に対して、多くの人は倫理体系から逸脱することに抵抗感を有しています。しかし、企業倫理の逸脱に関しては、抵抗感が麻痺しがちです。特にオリンピックなどに関連する政府や地方政府の公共事業においては、判断までの時間が少ないことによる政府の判断能力の低下(事業費積算の甘さにつながる)や、高収益を獲得しやすいと企業側が認識することによる誘因、政府の推進という錦の御旗による企業倫理体系への判断能力の欠如が重なるため、企業倫理の逸脱が非常に起こりやすい環境が生まれます。
しかし、談合という犯罪行為が明らかになると、その責任は個人に帰属することになり、企業によりその社員の処分が行われます。個人としては、このような犯罪に手を染めることは割に合わないのですが、それだけでは企業に対する抑止力は不十分です。社員の犯罪行為を前提とする企業の収益に対しては、極めて莫大な「懲罰的制裁金」をかけるなどの方法で抑止することが必要でしょう。その意味では、企業に対する2億円程度の罰金では、企業に対する抑止力としては全く不十分です。その100倍程度の罰金の基準を設けないと十分な抑止効果は期待できないと思います。