ハイチのアンリ首相が辞任表明、治安悪化で周辺国が緊急会合
AI要約
- 1ハイチのアンリ首相が辞任を表明
- 2治安悪化に伴いカリブ共同体が緊急会合を開く
- 3ブリンケン米国務長官が治安回復支援のため1億ドルを拠出
コメント
注目のコメント
アンリ首相は、先月、ケニアに警察官1000人の派遣を要請に行った際、首都をギャング連合に占拠されて、帰国できなくなっていました。
今も、首都は、「バーベキュー」のあだ名で知られる首領が率いるギャング連合が闊歩しています。
彼らは、各省庁の庁舎を根こそぎ略奪したうえで炎上させる、などの活動を続けています。
国連では、ハイチに国際的な治安維持部隊を送る、という議題はたびたび話し合われていますが、ギャング団たちとの泥沼の戦闘になるのは目に見えているし、それからハイチ人たちが安定した政府をつくれる見込みも全く無いので、人員を送ろうという国が現れません。
米国や日本が資金を出して、アフリカ諸国などに頼むくらいしかないでしょう。法の支配も社会秩序も存在しなくなったハイチ。ギャング集団は首相が辞めても、その行動を改めることにはならないだろう。結局、ギャングが支配する社会か、何らかの権威が統治する社会か、という選択しかないのが現在のハイチ。
歴史は専門外ですしハイチは専門外ですが・・・おさらいすると次のとおりでしょうか。
・スペイン人に連れてこられたアフリカからの奴隷・・17世紀にはフランス人の侵入が始まり、スペインとフランスの戦争を経てフランス領へ。
・その後フランス革命に刺激され、黒人奴隷の中に自由を求める動きが広がり、それを受けてフランスは1794年に奴隷制の廃止を宣言、その後ナポレオンが奴隷制復活。反発したデサリーヌ率いる反乱軍がフランス軍を破り、1804年にハイチ独立。
・このあとの略年表は次のとおり( https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/haiti/data.html )ですが、特に医師からポピュリストの政治家に変貌したデュバリエとそれを引き継いだ親子の独裁で酷いことになったようです。息子の方は2014年、法の裁きを受けないまま死去( https://www.afpbb.com/articles/-/3028096 )
さて、中南米諸国で20世紀半ばから後半にかけて独裁が続いた国は他にもありますが、その後の民主的な選挙で立て直して発展している国が多い中、ハイチは選挙で選ばれた大統領の政策がどうだったのか、そしてそもそも産業基盤がどうなっていたのかも注目すべきです。
後者に関し、地理学的な観点では、2010年の大地震の後に現地視察された浦部先生の論考の視点が参考になります。https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajg/2013s/0/2013s_110/_pdf/-char/en
これを読むと、貧困ゆえに森林伐採→洪水頻発、農業発展阻害→食糧自給率低水準→輸入依存高まり、食糧自給不安定→社会も不安定(例 2008年の内閣退陣も一次産品価格高騰が背景) という感じでしょうか。人材についても、支援団体が根こそぎ優秀な人材を雇用する一方で公的部門は人材不足という援助を巡る問題もあるようで考えさせられます。
同じ島のドミニカ共和国は、先週日本で貿易投資セミナーやって、拝聴していましたが、なかなかの発展ぶりでして、同じ島なのにハイチとの差はなんなのかと思わざるをえませんでした。
ちなみにハイチとの国境地帯に企業進出インセンティブを設けているようですが、難民流入対策&防衛も兼ねているのかと思ってしまいました。