Social media icons on smart phone screen.

爆発的な人気が出たことは一度もない

「Google+」の大規模な改革が発表されたのは3月初めのこと。要するに、「Facebook」に対抗するソーシャルネットワークを目指すのは諦めて、写真編集のフォト(Photos)と、ソーシャルサービスのストリーム(Streams)に分離する、というものだった。

無理もない。Google+はFacebookや「Twitter」、あるいは「Linkedin」のように爆発的な人気が出たことは一度もない。確かに、Google+を使っている人はゴマンといる。一度ログインすれば、「Gmail」や「Google ドライブ」など、グーグルが提供するすべてのアプリを利用できる手軽さがあるからだ。だが、ソーシャルネットワークとしての機能はあまり使われていない。

ソーシャルネットワークの研究者、エドワード・モービアスは昨年、Google+のサイトマップを分析して、プロフィールページをサンプル抽出し、今年1月の月間アクティブユーザー(MAU)を推測した。ここでのMAUは、Google+に1度でも投稿する人のことだ。その結果、1月のMAUは400万~600万人との推測が得られた(ちなみにFacebookの場合、日本だけでもMAUは2000万人を軽く越える)。

Google+の軌道修正は、数カ月前から噂になっていた。とはいえ、Google+はかつて、ユーザーのオンライン生活を一変する画期的な商品と位置づけられ、ラリー・ペイジ最高経営責任者(CEO)の肝煎りプロジェクトだった。いったいそこに何が起きたのか。元グーグル社員を中心に関係者の話を聞いてみた。

Google+の最大の問題は、Facebookを真似しすぎたからだと、ある元社員は言う。グーグルはソーシャルメディアで「出遅れた」と感じていたため、需要よりも他社との「競争意識」からGoogle+を始めたと指摘する元社員もいた。

グーグル社内のGoogle+の部署には、「えも言われぬ恐怖感が漂っていた」という証言もある。フェイスブックがグーグルからユーザーを奪ってしまうのではないかという恐怖心だ。

開発状況を外に漏らさないため、Google+の部署は隔離されていたとの指摘もある。カフェテリアも、Google+のスタッフには「クラウド」という専用カフェテリアが用意されていて、よその部署の人間が入ることはできなかったとされる。

しかし、この「隔離」証言には反論もある。ある元社員は、専用カフェテリアが設けられるのは標準的なセキュリティ措置だと語る。広大なグーグルのキャンパスには、特定の部署の従業員しか入れないエリアがたくさんあるというのだ。またこの人物は、自分がいたときには、フェイスブックにユーザーを横取りされるなどという妄想は経験しなかったと証言する。

使い勝手が悪いソーシャルメディア

上記以外に元社員たちから聞いた話を以下に紹介しよう。

・Google+はユーザー同士を結ぶためでなく、グーグルのユーザー管理を簡単にするためにつくられた。入り口を1つにすれば、さまざまなアプリやサービスごとユーザープロフィールを管理する必要がない。

その代わり、Google+はFacebookやLinkedinのように、シンプルなソーシャルエクスペリエンスを提供するものにならなかった。FacebookやLinkedinなら友達を追加するのは簡単だが、Google+は誰を自分のサークルに加えるかいちいち考えなくてはいけなかった。

・グーグルはGoogle+でモバイル端末への移行も遅れた。フェイスブックも遅れたが、それを素早く認識して瞬く間に追いついた。今やフェイスブックの収入の大部分はモバイル端末経由であり、アプリもたくさんある。Google+の写真は高画質なものが多く、パソコンで見るなら快適だが、モバイル端末では表示するのに時間がかかる。

・Google+はグーグル内部でも「議論のある」商品だった。ただしこれはグーグルでは珍しいことではない。会社の規模が大きい分、さまざまな意見がある。

・Google+の立ち上げに尽力し、Google+のリーダーだったヴィック・ガンドトラ上級副社長が1年ほど前にグーグルを辞めたのは、予想外の出来事だった。誰がその役割を引き継ぐかといったプランはまったくなかった。

Google+はソーシャルネットワークとして大成功はできなかったが、完全な失敗だったわけではない。Google+によって莫大な数の人々が、グーグルの全アプリにシームレスにログインできるようになった。写真をオンラインで整理したいときも非常に便利なツールだ。

だが、Google+はメインストリームのソーシャルネットワークにはなれなかった。その意味で、もうFacebookやTwitterに追いつくことはできないだろう。(文中敬称略)

グーグルはこの記事へのコメントを拒否している。

(執筆:LISA EADICICCO記者、翻訳:藤原朝子、写真:@iStock.com/©scyther5)

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