内田日銀副総裁、出口で具体論 「マイナス金利解除でも緩和維持」
AI要約
- 1内田真一副総裁はマイナス金利解除後も利上げは考えにくいと述べ、緩和的な金融環境を維持することになるとの見通しを示した
- 2イールドカーブ・コントロール(YCC)については、国債買い入れ自体は継続するとの考えを示した
- 3内田副総裁は金融市場の不連続な動きを避けるため、政策修正のタイミングやコミュニケーションの重要性を強調した
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注目のコメント
仮に4月にマイナス金利解除となっても、政策枠組みのあり方自体がいくつも考えられます。
最も分かりやすく、市場関係者にとり「なじみ」があるのは、YCCの付かない量的・質的金融緩和に戻すことでしょう。初期の異次元緩和、すなわち2013年4月~2016年1月の世界に戻ることを意味します。
しかし、これでは、10年国債利回りの目標水準が廃止されるのと同時に、日銀当座預金金利を0.1%まで引き上げることになりますので、内田副総裁の言われる「不連続」な変化を惹き起こす恐れがあります。
逆に、最も変化を小さくする政策修正は、日銀当座預金の三層構造に適用される金利をそれぞれ0.1%ポイントずつ引き上げることでしょう。すなわち、政策金利残高には0%、マクロ加算残高には0.1%、基礎残高には0.2%を適用することになります。
ただ、これでは変化が余りにも小さ過ぎて、異次元緩和の「出口」と呼ぶに値しない、と批判されるリスクすらあります。
これら以外にもいろいろなバリエーションがあるでしょう。研究者としては、知的な興味が刺激されます。金融政策が緩和か引き締めかの境界線は、実質金利(=名目金利ーインフレ率)がマイナス圏かプラス圏か、です。この為、マイナス金利を解除(即ち10bpsの利上げ)したところで、確かに緩和的な金融政策である点は変わりませんし、10bpsや25bpsの追加利上げ後もまだ緩和だと主張することができます。いずれにせよ、事前の地均しは必須でそれが突然のメディア報道であってはいけません。マイナス金利解除が近いとは思いますが、期末を控えていますから特に3月会合は波風立てずにやり過ごし、4月以降の会合で、①フォワードガイダンスの変更、②展望レポートでの物価見通しの引き上げ、③記者会見での丁寧な総裁の説明といったプロセスが必要です。