正しく体を揺らすと健康になる

正しく体を揺らすと健康になる・連載第18回

西本直の一番好きな体の動かし方

2015/5/7
体を横にしているときは、体が重力から解放されて、体を整えるのには絶好の状態だ。朝起きたとき、そして夜寝る前、ベッドや布団で横になったまま何をすれば、肩こりや腰痛から解放されて快適に日常生活を送れるようになるのか? トレーナーの西本直が操体法を伝授する。
入門1:かかと伸ばし
入門2:膝倒し、つま先上げ

操体法4:腕ひねり

これまで2回にわたって、「かかと伸ばし」「膝倒し」「つま先上げ」と呼ばれる操体を紹介してきました。

最後は「腕ひねり」という操体です。

膝を立てたまま、両手を伸ばして顔の前で手のひらを合わせ、片方の肘を畳むようにして手の平を体の横に回転させていきます。

西本直著『朝3分の寝たまま操体法』(講談社+α新書)を参考に作成

西本直著『朝3分の寝たまま操体法』(講談社+α新書)を参考に作成

手首はすぐに可動域に達しますから、肘、肩、肩甲骨、首、背骨、骨盤、股関節から膝足首と、見事に連動していきます。

個人的にはこの動きが一番好きです。

ひとつですべての要素を含んでくれていますし、途中から別の動きへ変化していくのも自由自在ですから、ものぐさな私にはぴったりです。

いい加減な動きで十分

「体を治す」「治してもらう」という感覚の人は、外力によって体が変わるのだと思い込んでいるところがあります。

強い刺激を求め、多少の痛みなら我慢して、今の痛みを取ってもらおうと思ってしまうようです。

そういう感覚の人にとっては、このやり方は、まったく物足りない動きと感覚で、これで何が変わるのかとけげんな顔をされてしまうこともよくあります。

強い刺激を求める人には、「お相撲さんを引退してこういう仕事をしている人を探してはどうですか」とか、さらにはその刺激にさえ慣れてしまったら「動物園にでも行って、ゾウに踏んづけてもらいますか」などと冗談めかして、私の本心を言葉にすることもあります。

とにかく体との対話を、一度真剣にやってみてください。

こんな簡単なことでどうして気持ちが良く、体が喜ぶのだろうと感じ、毎日続けているうちに、朝起きるのが楽になったような感覚を覚えるはずです。

丁寧に自分の体に話し掛けていくことを続けていくうちに、体もその努力を認めて、きっとそれなりの対応を取ってくれるようになります。

いい加減な動き、気持ちの良い動き、それで十分なのです。

※本連載は毎週月曜日と木曜日に掲載予定です。