【挑戦の年】宇宙ビジネスにはわかりやすい成功事例が必要だ
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とにかくロケットが足りないので、そこをなんとかしないと、との思いで頑張ってます!
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https://www.istellartech.com2023年は「失敗」の報道についても、考えさせられた1年でした。
H3の最初の打ち上げ機会は2月にあったのですが、ロケットが飛び立つ直前に異常を検知して中止(延期)になりました。この日の記者会見で、ある通信社の記者が「失敗ではないのか」とプロジェクトの代表者を詰問。会見はリアルタイムでネット配信されていたため、その高圧的な態度が物議を醸し、ネット上で大炎上したのです。
この記者の質問は明らかにやり過ぎでした。そして実際、「失敗」という認識は間違っていました。
しかし、宇宙開発だけの話ではないかもしれませんが、どこか「成功して当たり前。失敗すれば責任重大、責められて然るべき」という空気が現場にあったのは否めない気がします。新聞やテレビでも、成功のニュースより失敗のニュースの方が大きく扱われがちです。特に、長年の実績があるロケットにおいてはなおさら。
この大炎上事件があってから、「失敗」の記者会見であっても、慎重で丁寧な態度がより心がけられるようになったのではないかと勝手ながら思っています。(当然ですが、ほとんどの記者は元から丁寧な質問をしています。)
失敗したくて失敗する人はいないでしょう。もちろん、JAXAの場合は国家予算を使うわけですから国民への、民間企業の場合は投資家や顧客への責任が伴うわけですが。宇宙産業には、どうしても他にないようなリスクがつきまといます。そのリスクを如何に許容できるのかも、日本がこの分野で勝っていけるかどうかの分岐点となる気がしています。宇宙ビジネスは産業内で見た場合と国家単位で見た場合に大きく景色が異なる領域かと思います。
産業内で見た際にはたしかに勝者へのリターンやインパクトが極めて大きい「夢」がある一方で、国家単位で見た場合には時間軸の不透明性が未だ大きく、簡単に投資をするよりもポートフォリオ的に考えなければならない一方で、国防なども大きく影響するなど国家の関与や資本の集中投下が必要という相反する条件をクリアしなければなりません。
初期は問題ないでしょうが、企業成長時を見据えた際にそれをさばける経営者であるか、という人材資質およびその人材層の厚さも問われるかと思います。
この観点から、米中のような巨大国家には有利に働きやすく、国家の総合力が相対的に縮小している日本においては「宇宙は戦略的に攻めるべき領域か」は突き詰めて論じる必要があり、リターンの大きさや「日本との相性」論みたいなものだけでは語り切れない、「資本配分」や「社会資産」という戦略的観点からの判断も大きく残ると考えています。
とはいえ、AIとバイオ・製薬のような未来の巨大市場に対して大きく出遅れた日本として勝負可能な数少ない巨大なフロンティアである点は間違いないと思います。