【Vol.1】塩野誠「『失敗本』と『変遷本』から人間の機微を学べ」
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注目のコメント
『失敗本』と『変遷本』という提案は納得できます。
「成功本」だと、所詮「勝てば官軍」なので、成功要因がクリアにわかるものは少ないのですが、「失敗本」がそれじゃあ本にならない。ちゃんとNGなことは書くよね。
また、自分のコンサル時代の師匠は、クライアントが現在に至る流れを必ず追え、と指導してくれました。なぜなら、過去の成功・失敗を通じて育まれた組織の「癖」に沿って意思決定が行われるから。癖を直すにしろ直さないにしろ、変遷を追わないといい提案はできないよ、と。「変遷本」は、その点で納得。
じゃあ古典を読めているかというと私は読めてないですがね…それは単なる「努力の総量不足」ではあるんですが。でも、次の時代の古典になりそうだなぁと思う本に出会えると面白いですし、これは古典たりうるか、と思いながら読むのも一案かなぁ…手痛い失敗をした私は「失敗本」で救われた。塩野氏も挙げている「私の履歴書」。結構な量だが、全巻持っている。箱型に入っていて、床に敷くと簡易ベットくらいの面積に。大手町の日経ビルの本屋でまとめて買える。
大企業経営者の章は、時代背景とか業界知識が学べるが面白いのは創業者系。
現在連載中のニトリ社長もそうだが、波乱万丈で「人間」と「経営」が学べて面白い。
東急の創業者の五島氏が逮捕されたり、京セラ稲盛氏が無許可セラミックで行政処分を受けていたり、松下幸之助が脱税疑惑を報道されて失墜したり、ベネッセ創業前に福武氏は一度倒産してたり、ユニクロ柳井社長が下品なCM投下で失敗したり。みなさん、30代・40代あたりで、一回は死ぬほどのレベルで倒された後、不屈の精神で事を成し遂げている。
そういう事実を知っているだけで、私の場合、一昨年業務停止処分になったとき「今回の件なんて、私の履歴書の一話分。これを乗り越えてこその男だろ」と前向きに対応できたりする。
「私の履歴書(全巻)」は、失敗を恐れず、大きなことに挑戦する戦うビジネスマンにお勧めだ。失敗本は僕も好きなジャンルです。事実は小説より奇なりで様々な人生を追体験できますし、理論書を読むよりも臨場感を持って意味が伝わります。
『反転』も面白かったですし、スタートアップに関心がある人であれば、板倉雄一郎氏の『社長失格』とジェリー・カプランの『シリコンバレー・アドベンチャー』は是非とも読んでおくべきでしょう。前者を読めば、デットとエクイティの違いが理解できるでしょう。後者は90年代前半にiPadを作ろうとした人の話です。