2023/12/26
【新キャリア】事業開発経験者の次なるフロンティアとは
AlphaDrive | NewsPicks Brand Design
テクノロジーの進化と消費者ニーズの多様化にともない、多くの企業にとって新規事業開発は、いまや最優先で取り組むべき課題となっている。
AlphaDriveは、2018年の創業以来、トヨタ自動車、NTTドコモをはじめ、大企業向けに新規事業開発の支援を行ってきた。近年は、事業創出の「0→1」支援のみならず、事業をグロースさせる「1→10」フェーズ、すなわちアクセラレーション支援にも注力している。
同社のアクセラレーション事業を牽引する加藤隼氏に、アクセラレーション支援の魅力と可能性について聞いた。
アクセラレーション支援に向く人とは
──AlphaDriveはこれまで106社、じつに12,200件の新規事業開発を支援してきたとのことですが、事業フェーズにおける「0→1」と「1→10」を支援する際の違いから伺えますか。
加藤 まず前提として、新規事業開発をアイデアの創出から事業化、さらに事業拡大までワンストップで支援することが可能です。その上で、支援の中身が大きく変わってくるのが、「0→1」と「1→10」のフェーズになります。
「0→1」は多産多死の思想で、アイデアを数多く生み、事業検証を行うフェーズです。1つの事業への投資も限定的で、かつ、推進するチーム自身が事業解像度を上げていくことも重要ですので、支援の内容もメンタリングなどが中心になります。
一方、「1→10」は、投資を絞り込む意思決定がなされ、事業を育てるフェーズです。当然、事業にかける予算も増えますし、プロダクト/サービスの開発、マーケティングによる顧客の獲得/拡大など、具体的にグロースさせていく必要があります。支援の内容も、よりハンズオンに近いかたち――具体的には、機能支援や実働支援などを行います。
──アクセラレーション事業部を率いる加藤さんから見て、「0→1」と「1→10」で支援する側のバックボーンとして求められるものは変わってきますでしょうか。
どちらも共通して求められる要素も多いのですが、とくに「1→10」フェーズにおいては、事業開発経験の濃密さがモノを言います。
新規事業開発の「起承転結」を一気通貫でやりきった経験があるとベストです。といっても、当事者意識を持って取り組んできたかどうかがポイントで、事業の大小や、成否は問いません。
多くの新規事業はスモールチームで立ち上がられるので、さまざまな業務を兼ねることになります。開発経験がないなかでシステムベンダーと交渉したり、専門外でもマーケティングやプロダクトマネジメントに向き合わざるを得なかったりする。そうした経験のある方なら、実務は別として、新規事業をグロースさせていく際のカンどころはつかめていることが多いと思います。
──加藤さん自身も、かつて企業で新規事業開発に携わった経験があるそうですね。
ええ、最初に新規事業に関わった経験は、新卒で入ったソフトバンクです。といっても、初めは法人営業を担当していました。
そのクライアントであった大口顧客に深く入り込み、新規事業の提案をしていくなかで、ジョイントベンチャーでの事業立ち上げが意思決定されたんです。そこまでの経緯もあり、入社2年目ではありましたが、私が新規事業プロジェクトの実質上の推進責任者になりました。
──まさにいまにつながる経験ですね。
当時はもう、必死なだけでしたが。ただ、「どう売るのか」「どういうスキームにするか」「事故が出ないオペレーションは何なのか」、そういったことをひたすら考えながらお客さまと伴走した経験は、現在にも活きていると思います。
2社目は、DeNA。バーティカルメディア事業を中長期の柱とすべく、とにかく投資もしながらグロースさせていた時期です。ここでもジョイントベンチャーでの事業再建・立ち上げプロジェクトを推進する機会に恵まれました。これも狙っては得られないような貴重な経験でした。
──そこからAlphaDriveへの参加を決められたのは?
2社の経験を通して、新規事業開発のジェットコースターのようなプロセスの魅力にとりつかれたと言いますか。さまざまな企業の新規事業にコミットできる環境を求めてコンサルティング会社に入ることも考えていたんですが、ある日、知人のSNSで、AlphaDriveの存在を知ったんです。
当時のAlphaDriveでは、「新規事業支援を通してビジネスパーソンの心に火をつける手法と機会を提供し、すべての人たちが元気に生き生き働ける社会をつくる」という旨のミッション・ビジョンを掲げていました。それを見た瞬間、「とにかくここで働きたい!」と思い、半ば押しかける格好で、AlphaDriveに入社しました。
──AlphaDriveには、加藤さんのようなバックボーンの方が多いのでしょうか。
いろいろな企業の出身者がいますよ。「シリアルイントラプレナー」といいますか、大企業のなかで責任者として複数の事業を立ち上げ、グロースさせてきた経験者も多くいます。
あと、最近はスタートアップ出身者や起業経験者も増えてきました。当社のクライアントは、新規事業を立ち上げるなかで、失敗も成功も含めて、さまざまな試行錯誤をしてきた、本物の事業開発経験に対して強く価値を感じてくださっています。場所や事業の大小は問わず、新規事業を成功させるべく戦ってきた経験は活きると思います。
実践的なアクセラレーション支援組織として
──加藤さんにとって、アクセラレーション事業の魅力とは何でしょう。
「0→1」とは違い、「1→10」フェーズに入ると、実際にマーケットに出ていくことによって、リアルなフィードバックも得られます。
支援の中身としても、メンタリング・アドバイザリーよりも踏み込んで、事業のグロースに対して、よりハンズオンに近いかたちで積極的に関わっていくことになります。そうしたダイナミックな支援ができることは、非常に魅力的です。
──具体的にどのように企業を支援しているか、いくつか教えてもらえますか。
例えば、NTTドコモさんの事業で、「はたらく部」という中高生向けキャリア教育サービスがあります。
こちらでは、AlphaDriveを仮想的な出島と見立てる「仮想出島スキーム」という仕組みを使って、アクセラレーション支援を行っています。
大企業のガバナンスのもとですと、どうしても迅速で柔軟な事業開発が難しいケースも出てきます。そこで、一時的に事業をAlphaDriveの出島でお預かりして、グロースさせるというのがこの仕組みです。
他にも、研究開発から生まれた基礎技術をもとにした事業化のプロセスに伴走し、事業全体の戦略策定から、プロダクト開発やマーケティングでの用途開発といった支援まで、一気通貫で関わらせていただいている案件もあります。
こういった実績がどんどん増えていますので、「0→1」だけでなく、「1→10」も任せられる実践的なグロース・アクセラレーション支援組織としてのAlphaDrive、というブランドを強く打ち出していきたいと考えています。
あわせて、アクセラレーション支援のさらなる体制の拡大、人材の増強も図りたいと思っています。
──いま現在、アクセラレーション事業にはどのようなポジションがあるのでしょうか。
AlphaDriveのアクセラレーション事業は、「アクセラレーションリード」「アクセラレーションアソシエイト」「アクセラレーションPdM」「アクセラレーションマーケター」という4つのポジションで構成されています。
「アクセラレーションリード」は、事業の戦略レイヤーに伴走し、とにかく支援する事業の成功にコミットするポジションです。お客さまの事業全体に対する戦略策定のアドバイスはもちろん、必要なタイミングで開発・マーケティングといった専門的な機能をプロデュース・ディレクションし、提供していく役割も担います。
そのアクセラレーションリードと協業しつつ、日々のきま細かい支援を行うのが「アクセラレーションアソシエイト」、専門性を活かして事業のグロースに貢献するのが、「アクセラレーションPdM」と「アクセラレーションマーケター」という機能ポジションです。それぞれ、プロダクト開発、マーケティングについての高度な知見を活かし、踏み込んだ支援をします。
──やはり、新規事業開発経験のある人が強いでしょうか。
そうですね。付け加えると、ご支援で関わるクライアントには歴史ある大企業も多いので、組織の力学理解も重要です。
支援先の企業ごとに、独自の意思決定フローや、部署間連携の作法が存在することがあります。ただ正論を振りかざすのではなく、一見、遠回りや、根回し的なことが逆に近道となることも多い。そういった力学を読んだ状況判断が、都度、必要になってきます。
また、それとも関連してくる話ですが、構造整理力や思考の独立性、渉外の強さなど、コンサルティング的なスキルも一定程度、備わっているほうがいいと思います。
──大企業で働いたことのある、あるいは大企業と仕事したことのある経験も活きそうですね。
例えばですが、大企業に何十年と勤められてきた方が、最初の転職先としてAlphaDriveを選んでくださるケースもけっこうあるんです。
かつて自分が主体となって新規事業を立ち上げたものの自分の手を離れていたり、事業が撤退となったり、それでも残り火がくすぶっているような方にとっては、存分に経験を活かしてもらえる仕事だと思います。
また、キャリアもさることながら、AlphaDriveに対するモチベーションもいろいろあっていいと思います。
現在いるメンバーを見ても、自分の事業開発経験とAlphaDriveのナレッジを融合させることで成長したい人もいれば、自分たちが事業会社のなかで苦労して得た知見をいま同じ立場にある人たちに還元したいという人、「N=1」にすぎない自分の経験が他の事業開発にも応用可能か試してみたい、という人もいます。
AlphaDrive自体、ここから加速していくフェーズです。ぜひ私たちと一緒に日本企業の新規事業開発を活性化させたいという方を求めています。
執筆:田中三呂
撮影:廣田達也
デザイン:小鈴キリカ
取材・編集:梅山景央
撮影:廣田達也
デザイン:小鈴キリカ
取材・編集:梅山景央
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