「カルメン」と印象派はイノベーションの宝庫
関西二期会が上演したオペラ「カルメン」を見ました。
ご存じ19世紀フランスの作曲家ビゼーの代表作です。イタリア語やドイツ語でのオペラが多い中、フランス語で上演される著名オペラの一つです。
舞台は、スペインのセビリア。タバコ工場で働くロマ出身の女工カルメンと恋に落ちたホセは婚約者ミカエラを捨ててカルメンとの恋を成就させようとするが、カルメンの心が離れていってしまい、ホセが密輸団に関わる中で、誤解が誤解を生んで、ホセがカルメンを殺してしまい…。
日本で最初に上演されたオペラとも言われており、多くの日本人のオペラファンにとっても馴染のオペラの一つであると思います。聞き覚えがある音楽が続きます。
世界的なオペラ「カルメン」ですが、当初の評判はさんざんでした。あまりに斬新であったので、観客がついてこられなかったのです。
なぜでしょうか。
第一に、主人公カルメンが、タバコ工場の女工という下層階級出身であることに加え、ロマ出身であることです。
これまでの女性の主人公は貴族であることが大半でした。下層階級でかつヨーロッパ系ではない主人公は19世紀の時代的背景を考えると斬新です。
第二に、犯罪集団が前面に出ることです。
下層階級どころか、密輸集団が大きな役割を果たします。犯罪集団が重要な役割果たすオペラは、多くの人にとって見たことのないものでした。
第三に、主人公2人が殺害という悲劇で終わることです。
オペラの場合、殺人がストーリーに含まれることも多いのですが、最後に主人公が2人とも殺害されるというのは、異例でした。
カルメンの初演は、1975年のパリ・オペラ座でした。
ちょうど時代は、パリで印象派の画家が力を持ってきたころでした。
従来のアートのあり方を大きく変える運動が起きていたのです。
前提を疑い、批判を恐れず、独創的なものを創り出す。「カルメン」も印象派もビジネスパーソンにとっても学ぶことが多くありますね。
※写真は、Unsplashから取得。