塩野誠とMr. サスペンダー、エリートを語る
【Vol.8】「嫉妬マネジメント」の3つのポイント
2015/4/17
3月、新丸ビルのEGG JAPANにて「日本型エリートは、どうすればグローバルエリートに勝てるのか?」と題した、NewsPicksの特別セミナーを開催。経営共創基盤(IGPI)のパートーナーでIGPIシンガポールCEOの塩野誠氏と、NewsPicksでMr.サスペンダーは見た!を連載するグローバル・メディア・クリエイターのMr. サスペンダーが、日本と世界のエリートについて語り尽くした。セミナーの模様を9回連続で掲載。第6ー9回は、聴衆からの質問に応える塩野氏とMr. サスペンダーのやりとりをお届けるする(モデレーター:佐々木紀彦NewsPicks編集長)。
【Vol.1】:エリートとは、恵まれてしまったがゆえに、みんなのために貢献する人
【Vol.2】:日本人は「意識高い系」ですら、全然努力していない
【Vol.3】:私はアメリカをあまり好きになれない
【Vol.4】:まずは日本というマザーマーケットで1位になれ
【Vol.5】:自分オリジナルの「掛け算」キャリアを創るための戦略
【Vol.6】:エリートには誰でもなれる
【Vol.7】:クリエイティビティを磨くカギは、物量、多言語、思い込み
イケメンは出世しない
塩野:「自分はまだまだだな」と認めるのはつらいことでもあると同時に、楽になることでもあるんです。というのは、「嫉妬」ってすごいコストじゃないですか。
たとえば、自分を鑑みても「うらやましいな」とか「あいつ、いいな」とか思っちゃう。これがなかったら、すごく楽だなと思う。嫉妬は本当にムダですよ。
反対に、自分が嫉妬される場合のコストもわかったうえで、プレーしないときつい。たとえば、イケメンってあまり出世しないでしょう。それに、これからは違うでしょうけど、今までは英語ができる人も偉くなれませんでした。
「あいつ、ペラペラ英語しゃべりやがって」みたいに思われたから。わが国に「彼は国際派だからね」って言ったら、「傍流」って意味ですからね。そういうのを理解してプレーしないといけない部分っていうのが、ある程度はあるんですよ。
人間の嫉妬を理解していないと、変なところで刺されたりとか、間違った判断をするなと思っています。
佐々木:なるほど、嫉妬ですね。
塩野:佐々木さんは、もう嫉妬されまくりじゃないですか?
佐々木:私は嫉妬に鈍感ですけど、そんなことはないと思いますよ。
塩野:嫉妬に鈍感なのは武器であると同時に、危険なことでもあるので、どこかで気を付けるべきですよ。
佐々木:危ないですか? 塩野さんは、嫉妬心ってどうやって乗り越えていったんですか? もともとあんまり嫉妬しないタイプですか?
塩野:いやいや、さっき申し上げたように、嫉妬しているとコストになってしまうので、もうさっさと諦めます。
佐々木:合理的ですね。
塩野:そうですね。だって、みんな他人のことを気にしすぎなんですよ。自分についてどうこう言ってくる人が、何か責任をとってくれるかといったら、最終的には何の責任も取ってくれないじゃないですか。
たとえば、「そんなに転職してて、おまえ、根なし草になって大変なことになるぞ」とか言う人だって、絶対責任取ってくれないじゃないですか。
何か得意分野を持つ
佐々木:Mr. サスペンダーさんは、どうですか?
Mr. サスペンダー:私もね、よく嫉妬されるほうなんです。サスペンダーが格好いいって。
(一同笑)
塩野:絶対そうですよ。
Mr. サスペンダー:そこで、私が嫉妬マネジメントの方法をお話ししましょう。
塩野:嫉妬マネジメント! 格好いい(笑)。
Mr. サスペンダー:まず1つは、誰かを嫉妬しそうになったら、逆に尊敬するっていうことなんです。
昔、「ひょっとしたら、おれは世界一賢いんじゃないか」って思っていた頃があるんです。
でも、自分より賢くないやつのほうが、おれより成績がいい。あるとき、その矛盾を消化できなくなってしまった。そこで、「こいつのほうが賢い」と認めることにしたんです。
嫉妬の気持ちを持つと、非生産的になってしまい、ライバル視して、敵視して、結果的にその人とうまくやっていけなくなるから。その人を尊敬すると、「その人の賢い脳みそをおれの成功のために使わせてもらおう」となるわけです。嫉妬から尊敬へのコンバージョンですね。
もう1つ、嫉妬しないようにするためには、自分に自信がなくちゃいけないと思うんですよ。そのためにも、何か得意分野を持つといい。
「面白いコラムだったら、おれのほうがうまいぜ」みたいな、とにかく「これはおれのほうがうまいじゃないか」とか、「あれはできないけれども、これができるおれって、悪くないよね」みたいに、自分を認められる何かを持っているといい。
そのためにも、自分が好きなことを突き詰めていくことが、重要だと思います。それが自分に自信をもつ秘訣だし、他人に嫉妬しなくて済む方法のひとつなんですよね。
ショーオフしてはいけない
Mr. サスペンダー:自分が嫉妬しないことも大切ですけど、もう1つは、嫉妬を受けないようにすることですね。私のお客さんで、すごく成功している人たちを見ると、わざと安い1000円くらいの時計をして、わざわざボロい車に乗っている。身内だけのときは、すごいランボルギーニとか乗ってるんですよ。
塩野:嫌なヤツじゃないですか、ただの(笑)。
Mr. サスペンダー:何が言いたいかというと、ショーオフしない(見せびらかさない)っていうことなんですね。成金と昔からの大金持ちの差はここですよ。
昔からの大金持ちは、それを隠そうとする。そうじゃない人は、ものすごくきらびやかに、たとえば、スタイリッシュなサスペンダーをしちゃう(笑)。
この嫉妬マネジメントの3つのポイントっていうのは、非常に重要なことだと思います。
佐々木:嫉妬マネジメント、これだけで記事になりますね。
Mr. サスペンダー:私の次の本に書くので、本当に内緒にしといてください。
塩野:いい話を聞けました。素晴らしかった。尊敬に変えるって素敵ですね。
佐々木:素晴らしいですね。ありがとうございます。
※続きは明日、掲載予定です。