賃上げ減税、中小6割が対象外 赤字体質の脱却重要に
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西村先生が書いていらっしゃるように、減税取れるから給与上げます、って意志決定はあまり目にしないですね。特需があったケースで税金対策をどうするかというときに、経費にもなるし減税も増えるしということで決算賞与を増やそうと言うケースはありますが、大体控除限度額(法人税の20%)で頭打ちになっているのですよね。
あとは、一度決算賞与を出すとそれが当たり前になって、逆に出ないときに不満になる、という問題もあり、業績が安定しない中小企業での意志決定はとても難しく綱渡り状態であるケースも少なくないです。
計画と行動と評価と対価が連動していることが理想ですが、そんな理想的な評価制度を作るのもなかなか難しい。成長企業なら良いですが、水面ギリギリの低空飛行で横ばいの中小企業でのベースアップはなかなか困難です。
また、記事中に「日本には単に業績が悪いだけでなく、納税を避けるために経費を膨らませ、あえて赤字を選ぶ中小があるとの指摘もある」とありますがこれも正に。
中小企業は株主=役員という同族会社がほとんどですが、利益かを見るときのポイントが個人的に三つあると思います。
「利益」「役員報酬」「役員借入金」です。
利益は当然見ますが、役員報酬を自分で決められますので、例えば利益トントンだとして、役員報酬が多額に出した上でのしてトントンと、役員報酬がほとんど出していないトントンは意味が全く異なります。
また、役員借入金が貯まっている会社も良く目にしますが、一時的なら良いものの、役員報酬が払いきれずに借入が貯まるという状態もあります。
と、色々な会社がある上での赤字率60%ということですので、一元的に見ていると、本質が捉えられていない可能性が高いと考えます。私の感覚を言いますと、賃上げ税制をあてにして
賃上げの意思決定をしている場合はほぼ無く、
たまたま要件を満たした企業が得している印象です。
日本の労務法制上、一度上げた基本給は
なかなか下げられません。
その為、長期的視点から多くの企業は賃上げに及び腰です。
たった1年の恩恵だけで賃上げの意思決定はそうそう変わりません。
また、中小企業の場合、今年が黒字でも
過去の赤字の累積である繰越欠損金があると
法人税がかからないので、賃上げ税制の恩恵がありません。
コロナ禍で決算が過去に痛んだ企業ほど、
賃上げ税制は無関係の制度になりがちです。
どちらかと言えば、賞与増額の効果がある印象です。
賃上げ税制を意識しつつ決算賞与を決める場合はあります。
専門家の立場からそういう提案をすることもあります。
全ての企業に恩恵を与えようとするならば、
控除の繰越しだけでは足らず、
法人税額の20%という税制控除の上限を撤廃し、
かつ、赤字の企業には税額控除の使いきれない部分について
税金の還付を認めるぐらいのことをしないと駄目でしょう。