2023/10/16

【観覧受付中】AIスタートアップ代表たちによる、熱いプレゼンテーション

NewsPicks Brand Design Senior Editor
 スタートアップ投資が「冬の時代」といわれる中、人工知能(AI)関連への投融資は引き続き活発だ。
 AIに関する基礎的な技術進歩、ビジネス導入に止まらず、技術革新を牽引する生成AIについても、熱い期待が寄せられている。
 ただ、その一方で、スタートアップの質は玉石混淆であることも事実だ。
 そんななか、国内最大規模のピッチコンテストであるHONGO AIは、日本発のスタートアップを輩出する場として、数多くのスタートアップに光を当ててきた。
 今年も下記の日時で、スタートアップ10社によるピッチコンテストが行われる。
【日時】2023年11月21日(火)15:30〜19:30
【形式】ハイブリッド開催@Event Hub(オンライン配信)
【開催場所】東京都港区虎ノ門2丁目6−2 ヒルズステーションタワー8F,45F~49F「TOKYO NODE」
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 昨年はどのようなスタートアップがアワードを受賞したのか。AIとビジネス構想をどのように掛け合わせたのか、今後の展望をどのように思い描いているのか。
 AIを活用した事業構想を知るうえでヒントになる3社へのインタビュー。
──骨粗しょう症の課題をAIで解決すると聞きました。
 骨粗しょう症は、骨折の原因になりやすい症状です。高齢者の場合、一度足の骨を折ってしまうと、寝たきりになってしまうケースも少なくありません。
 骨粗しょう症の検査は、医師にとっても、患者さんにとっても負担が大きいため、検診受診率は約5%(公益財団法人骨粗鬆症財団2021年調査)と低く、診断が後手に回ってしまっている。
 医療費の増加が社会課題となる中、利用者の負担を増やさずに診断率を高める仕組みづくりが求められています。
 そこで、当社は健康診断で撮影している胸部レントゲン検査の結果だけで、骨密度を推定するAI機器を開発しています。
──現在の事業展開について教えてください。
  2023年4月から、胸部レントゲンを活用して骨粗しょう症の早期発見につなげるAI機器の販売を開始しています。
 ただ、開発や仮説検証を行うことと、製品を顧客に売るのとではビジネスとして別のスキルが求められますし、医療業界は“実績”重視の世界。
 営業活動においても、「機器が他の医療機関に導入されているかどうか」をまず求められるので、この壁をどう乗り越えるのかがカギだったのです。
 その点でいえば、HONGO AIでBEST AWARDを含め複数の企業賞を受賞したことは事業にもプラスに働いています。
 受賞後、対外的に社の信頼感や知名度が上がったことで先行予約も入りましたし、それが実績となって、新規で営業する際のハードルが下がりました。
──ご自身にとって、HONGO AIはどんな場でしたか。
 個人としても、スタートアップとしても、心理的なアクセルを踏み込むきっかけになりました。どれだけ仮説検証を繰り返しても、スタートアップの経営者に「不安」はつきものです。
 HONGO AIを通じて、「君のやっていることは、ビジネスとしても社会的にも意味があるんだ」とお墨付きをもらえたことで、「絶対これはいける」という確証を得ました。
 事業フェーズが変わったことも含め、これから会社の成長が加速していくタイミングで、自分の事業に対して確固たる自信を持てたのは大きかったです。
──HONGO AI出場後、事業にどのような変化がありましたか?
 当社はAIの力で「都市を再発明する」ことを目的としたスタートアップです。
 主に大手デベロッパーや建設会社、鉄道会社などと共に、都市の再開発やエリア活性化のお手伝いをしています。
 HONGO AIでは、建設会社の株式会社フジタからフジタ賞をいただきました。
 その縁もあって、フジタの発祥の地である広島でのまちづくり案件などに関わりはじめています。
 今後はフジタが(同じスポンサー企業である住友商事、ソフトバンクと一緒に)取り組んでいる広島大学スマートシティなどにも挑戦していきたいと思っております。
──賞を受賞される前と比べて、事業の成長速度に変化はありましたか。
 そうですね。
 HONGO AIスポンサー陣との協業がきっかけになり、さまざまな大企業とも取引できるようになりました。
 昨年、HONGO AIに出場した時期は、都市開発に関わる不動産・建設業界にもっとフォーカスしていこうと事業の方向性を決めた頃でした。
 このタイミングでフジタさんの賞をもらい、「業界でちゃんと評価されている会社だよ」と評価を得られたことで、現在の事業の成長につながったと思います。
 今では日本経済を牽引する業界企業の皆様と取引をスタートできるようになり、昨年受賞できたことの意義を強く感じています。
 おかげさまで、会社の事業規模もひと回り以上、大きくなりました。
──最終選考会の雰囲気はいかがでしたか。
 多くのピッチコンテストは、プレゼンテーション後の質疑応答の多くが、AIを活用した事業内容を理解するための質問が多い印象です。
 それに対して、HONGO AIはAIに特化したコンテストということもあり、プレゼンテーションだけで事業内容について理解してくださり、質疑応答では社会にどう役立つのか、実現可能性はあるのか、採算は取れるのか、といった事業展望について審査員の方々から技術面、ビジネス面から深掘りされました。
 1社あたり10分のプレゼンテーション・質疑応答のなかで、自社の事業について魅力的に伝えるため、各社ともかなり説明の仕方や話し方を意識している印象でした。
 HONGO AIに向けて作った自社サービスの説明の仕方や、話し方などは、その後の事業説明でも活かせています。
 成長段階のベンチャーが一生懸命にプレゼンをする熱気が会場に溢れており、将来的にスタートアップを目指す学生さんにとっては、良い刺激を受けられる場だと思います。
──HONGO AIと、他のピッチイベントの違いはなんでしょうか。
 他のコンテストに比べて、規模の大きさと知名度の高さが違います。
 選考委員の方々も著名な方ばかりでしたし、最終選考会は都内一流の会場で行われます。
 ステージの雰囲気も多くのコンテストと異なり、普段まったく緊張しない私でも、頭の中が真っ白になってしまいました(笑)。
 また、実現可能性はどこまであるのかなどを厳しく評価されるため、企業からの注目度も高いのも特徴だと感じています。
 HONGO AIでの受賞実績が企業との協業や契約の後押しになった事例は、当社だけでなく、他社の方からも耳にしています。
──AIと『におい』を使って、実際にどのような事業が可能になるのでしょうか。
 においは味を決定したり、異変を知らせたり、気持ちを変えたりする重要な働きを持っています。
 そのため、食品製造や工場の異常検知、ホテルの空間デザインなどさまざまな場面に使われているのですが、においを成分単位ではなく、人間が感じているように分析する手法は、まだ十分に確立していません。
 AIを使ってにおいを分析することで、人間の嗅覚でしか評価できなかったにおいを、さまざまな観点で評価することができるようになります。
 食品メーカーや化学メーカーなどで、製品開発・品質管理・製造工程の改善など、多岐にわたる利用が期待できます。
 例えば、 メーカーの調達部門の方が“現在仕入れている原材料と似た香りの、より安価な原材料を探して仕入れ値を大きく下げる”という使い方も可能です。
──実際に出場してみて、受賞後どのような反響がありましたか?
 当社は三井住友銀行賞をいただいたのですが、三井住友銀行さんからさまざまな企業を紹介いただくようになり、そこから何件か取引につながりました。
 そのなかでも大きかったのは、エステーさんに出資を受けたことですね。エステーさんは実は創業してから1社も出資したことがなく、うちが一番初めだと聞き嬉しく思っています。
──事業内容が特殊だからこそ、こうしたピッチの存在は大きそうですね。
 そうですね。
 確かに少しわかりにくい事業なので、プレゼンでは審査員の方々にかなり突っ込まれました。技術部分についての深い理解を前提としたうえで、ビジネス展開やハード面の技術について、鋭い質問をいただき、そのうえで応援しようとしてくださっているのを感じました。
 日本が成功してきたこれまでの時代と、私たちが今、AIで勝負しようとしている時代はまったく違います。
 これまでの日本の得意分野の延長線上で頑張るだけではなく、若い私たちが最前線に立ってパイを作りに行かないといけません。
 HONGO AIは「日本のマーケットを作り、そして世界のマーケットに輸出する」そのような流れを作るスタート地点になると思います。