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帝人株式会社(ていじん、英語: TEIJIN LIMITED)は、登記本店・大阪本社を大阪市北区、東京本社を東京都千代田区に置く、日本の大手化学メーカー。帝人グループの中核企業であり、事業持株会社である。一流ホワイト企業100に選出されている。日経225(日経平均株価構成銘柄)およびJPX日経インデックス400の構成銘柄の一つ。 ウィキペディア
時価総額
2,664 億円
業績



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規模を大きくするには、世界の何か所かに廃プラスティックを集積して、巨大なリサイクル工場で再生処理するのがいい、ということになります。
現実はそうはなっていません。
廃プラスティックが集積される国、というのはあります。
しかし、そこでリサイクルは行われてはいない、という場合が圧倒的に多いです。
先進国は廃プラスティックを、途上国に金を払って引き取ってもらいますが、途上国の輸入業者は、金だけ受け取ってリサイクルはしない方が儲かるからです。廃プラスティックは山奥などに廃棄されてきました。
プラスチックごみに埋もれた村 日本から違法輸入も
https://www.youtube.com/watch?v=rDLFr5eGlLw
衣料類ごみについては、今はアフリカや中南米に集積され、廃棄されています。
「アフリカ人はどんな服でも着ると?」 ガーナで聞いた古着商の憤り
https://www.asahi.com/articles/DA3S15398729.html
砂漠を汚染する「ファストファッション」 廃棄した古着から有害物質 チリ
https://www.afpbb.com/articles/-/3375578
結局、リサイクルするよりも、アフリカなどに輸出してしまった方が、安く処分できる、というコストの力学で廃プラスティックは動いています。
この状況を止めるべく、2020年に改正バーゼル法が締結されました。
廃プラスティックを他国に輸出することを規制する条約です。
世界のどこかにプラスティックを集積しても、リサイクルなどされていない、という現実があってのことです。
市場の力学では、一番安く引き取ってくれるところに廃プラスティックが集まって、アフリカに廃棄されて巨大なゴミの山を築くことになります。
国際的に、諸国の政府が金を出して、アフリカやバングラデシュやチリなどに巨大なリサイクル工場をつくるなどしなければ、廃棄された衣類が持続的にリサイクルされるということにはならないでしょう。
「技術革新も重要ですが、エコシステムがなければ世の中を変えることはできません。社会を変えるには、政府が仕組みをつくり、企業が連携してエコシステムをつくる必要があります。」
なんでも規制や法律があったら良いとは決して思いませんが、ケミカルリサイクルの普及とコストの課題に既に法律が絡んでいるのであれば、全体最適のためにルールを改善するとすればどうすべきか、企業がケミカルリサイクルに取り組むインセンティブを高めるためにはどのような仕組みをデザインすべきかは、考えるべき問いかもしれません。
繊維に限らず、食品トレーや洗剤容器など、「ポリエステル」という素材にフォーカスしたケミカルリサイクル技術を世界各地に提供していくということですし、温室効果ガスは世界全体で取り組まなくては解決できないことを踏まえると、ケミカルリサイクルを普及するためには国内はもちろんグローバルで促進するような仕掛けが必要になるのかもしれません。
先見の明があり、積極的に取り組んできた日本企業の努力が無駄にならないよう、循環型経済に向けたエコシステムづくりが日本発で前に進むことを期待しています。
そのためには、企業、政府などの関係のステークホルダー同士が対話しながら仕組みづくりに向けて知恵を出し合い、時代に応じたルールづくりと効果的なグローバルなアドボカシーを行っていくことが必要かなと思います。
しかし今は法整備を待たずに、企業が自ら分別回収の仕組みをつくってビジネスチャンスを獲りにいく時代、という潮流を感じています。
なお、法的な支援があったとしても、ずっと順風万端が保証されているというわけではなく、廃製品の仕入れ状況やバージン材(非リサイクル材)の市況変化にかなり影響され、厳しい戦いがあるのがリサイクルビジネスです。
もし、日本で繊維リサイクル法が浸透したり、中国で輸入規制が起こらなければ、繊維リサイクルの技術開発はもっと日本中心に進み、世界の「サステナブル・ファッション」の潮流にも乗りやすかったかもしれませんね。
しかし、昨日の記事にも書いたのですが、GHG排出を削減することを考えると、エコシステムだけでは不十分で、社会実装のための人々の認識の転換やリサイクルへの理解増進といったソフト面も同時に必要であろうと思います。