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特許を生むIBM

数多くの特許を取得していることで知られるIBMに、また一つ栄冠が加わった。同社の研究開発費は年間約60億ドル。ナノテクノロジーやビッグバンの証明など、幅広い分野の研究を行っている。

2014年には、同社のアメリカでの年間特許取得件数が7000を超え(7534件)、米企業としての記録を更新。年間取得件数は22年連続で全米1位だ。昨年は1日20件以上の発明に成功したことになると、同社は胸を張る。

その秘密は、発明の担い手が、専門の研究科学者だけではないことだ。IBMではどの社員が発明者になってもおかしくない。特許の申請や取得をサポートするチームもある。

マスター・インベンター

ケリー・アブエルサード(33)はシステムアドミニストレーター(システム管理者)として入社し、現在はクラウドサービスのソフトウエアエンジニアを務める。

「たまたま発明家になった」と語る彼女は、過去6年間に数多くの発明を手がけ、会社から「マスター・インベンター(発明の達人)」と認められている。多くの特許を取得し、ほかの社員の特許取得を支援する人に贈られる称号だ。

「米特許商標局に55件申請して、これまでに12件承認されている」。7年前は「自分が発明をするなんて想像もしなかった。特許を取るのはロケット科学者のような人だと思っていた」

きっかけは友人の依頼だった。あるウェブブラウザのページビューアーを開発していた友人から、特許の申請手続きを手伝ってくれと頼まれた。彼女は友人と一緒に書類をまとめ、社員の特許のアイデアを検証する部署に提出した。

「書類を作成する過程で三つのアイデアが生まれた。私は目を開かされ、発明は誰でもできるんじゃないかと思った。ロケット科学の博士でなくても大丈夫なのよ」

自分にもいくつか特許を申請できそうなアイデアがあると思ったアブエルサードは、発明のブレインストーミングを支援するグループに登録した。世界中の参加者がオンラインで集まって議論をするグループだが、「IBMの多くの人が仕事の合間にやっている」ことだと知った。

アブエルサードが登録したグループには、IBMの30代の社員があふれていたのだ。その1人、リサ・シーキャット・デルーカ(31)は女性社員として最多の特許を誇る発明家で、370件以上を申請している。

発明への4ステップ

特許につながる発明は「普通の人にもできる」と、アブエルサードは言う。まず、次の四つのポイントを意識してみよう。

1:「テクノロジーを利用する普通の人として」遭遇する問題を探す。アブエルサードが申請した最初の数件は、クラウドコンピューティングの専門知識とは関係なかった。「ごく日常的なことを解決するためのものだった」

彼女の特許には、携帯電話とパソコンのメールアドレスのスレッド表示を連携させる機能(U.S. No. 2013-07-16 8489690)や、テレビ電話の相手をインスタントメッセンジャーのチャットに追加する機能(U.S. No. 2013-12-10 8605882)がある。

2:仕事中も想像力を働かせ、誰もが直面する問題を見つける。「どんな仕事でも毎日、誰もが、職務を遂行して結果を出すことを求められ続ける。時には立ち止まって、自分が仕事で解決しているさまざまな問題を観察すること」

同じ問題を繰り返し解決しているなら、恒久的な方策を考えてみる。仕事で取り組んでいることのなかに、もっと大勢の人や、もっと幅広い問題に当てはまるものもあるだろう。

3:解決策をあれこれ想像する。「(こんなふうに解決できたら)すごいなあ」と考えてみる。例えば、オフラインの人にも会議の開始をリアルタイムで知らせることができたら、会議の日時を自動的に送信できたら、すっきりするではないか。

4:発明仲間のグループに参加する。IBMではそのような機会がたくさんある。多くのテクノロジー企業と同じように、IBMは数多くの特許を申請している。自分の会社にそのような環境がなければ、自分に合った集まりを探そう。

「同じ志を持つ人々とのブレインストーミングは、驚くほど自由になれる」と、アブエルサードは言う。特許取得のプロセスを導いてくれるようなメンターを見つけるのもいい。

発明家トーマス・エジソン

発明家トーマス・エジソン

観察力が磨かれる

「特許を取得することには見返りがある。私はIBMの社内でも社外でも恒久的に通用する成果を手にした。自分の発明のすべてを、とても誇りに思っている」と、アブエルサードは言う。

発明に取り組むことによって「より創造的になり、観察力が鋭くなって、問題解決に積極的になれる。私は技術的な問題に気が付くと、どんな発明ができるだろうと考えるようになった。立ち止まって考える癖をつけ、思考の訓練をすれば、誰でも特許にふさわしいアイデアを思いつける」

(執筆:Julie Bort、翻訳:矢羽野薫、写真:Business Insider)
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