新型コロナ患者急増“第9波”か 新変異株「エリス」が拡大
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朗報は、9月20日から接種が開始となるXBB対応のブースターワクチンがこの「エリス」に対して有効な可能性が高いということです。過去に獲得した免疫をすり抜ける可能性が十分あるものの、今回のブースター接種が広がることで、風向きを大きく変えられる可能性があります。また、少数例の検討ですが、安全性については過去のブースター接種と同様で、参考までに発熱の頻度は6%と報告されています。
そうした意味で、9月20日からの接種はタイムリーで重要だと思います。対象は生後6ヶ月以上のすべての人とされており、「またマスクか」とため息をつく前に、その接種を検討いただくと良いと思います。エリスは、多彩な変異を持つ変異株であり、これまでの抗体を回避して感染する力は強い様です。しかし、病原性が強いわけではなく、リスクがなくてワクチンを接種していれば重症化するリスクは低いでしょう。
ただし、いくら重症化しないとはいえ、感染者が増えれば死者も増えますし、社会への影響は大きくなります。肺炎にならなくても熱が40度を超えたり、後遺症を残したりなど、様々な問題を引き起こします。育児をしている家庭であれば、子供を預ける先がなくて解熱剤を飲みながらの育児となってしまいます。
幸いな事に、9/20から接種が開始される新しいワクチンでは、エリスにも効果があると報告されています。今後はインフルエンザの様に、年に一回のワクチン接種の様な体制になると思われますが、効果の高いワクチンであり、接種して感染を防ぐのが吉と考えられます。いつも思うのですが、過度に不安を煽るのは、よろしくないと思います。
エリス株はオミクロン株の亜系統で、現時点の分析としては、感染者数増加の優位性を見せてはいますが、重症度や感染性の上昇という知見はなく、世界的に9月以降の接種が計画されている、オミクロン株対応のワクチンの有効性が低下するという報告もありません。
一般的にウイルスは増殖や感染を繰り返す中で少しずつ変異していくもので、WHOは、変異のリスク分析評価に応じて、変異株を3種類に分類しています。(オミクロンは遺伝的に多様化しており、その亜系統は個別にVUM、VOI、VOCに位置付けられています)
エリス株は、8月9日に②VOIに指定されています
①懸念される変異株(Variants of Concern:VOC)
主に感染性や重篤度が増す・ワクチン効果が減弱するなど性質が変化した可能性が明らかな株
②注目すべき変異株(Variants of Interest:VOI)
主に感染性や重篤度・ワクチン効果等に影響を与える可能性が示唆される、かつ、国内侵入・増加するリスク等がある株
③監視下の変異株(Variants under Monitoring:VUM)
主に感染性や重篤度・ワクチン効果などに影響を与える可能性が示唆される、または上記VOC/VOIに分類されたもので、世界的に検出数が著しく減少等している株
国立感染研の9月7日の発表を、用語補足をしながら以下にお載せします。
・2023年2月に初めて報告されたエリス株EG.5系統は、オミクロン株XBB.1.9.2系統の亜系統で、XBB.1.5系統と比較して免疫を逃避する可能性が高くなることが示唆されている
・8月22日までにGISAID(ウイルスの世界的情報データベース)に登録されたEG.5系統の90%をEG.5.1系統が占めている。EG.5.1系統はアジアや欧米でこれまで主流となっている系統に対して感染者数増加の優位性を見せているが、重症度や感染性の上昇という知見はなく、今後接種が計画されているXBB.1.5系統対応ワクチンの有効性が低下するという報告もない
・現時点で、EG.5系統の重症度への影響、感染性、治療薬への影響などの臨床的、疫学的な知見は得られておらず、今後の国内外での検出状況、感染者数、重症者数の推移を注視する必要がある