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急成長する中国の中古車市場、メーカーとベンチャーが殺到

2015/3/24
中国では自動車保有台数が年々大きく伸びており、それに伴って中古車市場が爆発的な人気を集めていることは必然といえる。中国自動車流通協会の統計によると、2014年における中古車取引台数は前年比16.33%増の605万2900台、取引額は同26.03%増の3675億6500万元(約7兆2000億円)となった。そんな中古車市場に大手自動車メーカー、大型ウェブサイト、ベンチャー企業がパイの分け前にあずかろうと今、殺到している。

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ボルボ、自社中古車に無償で認証サービスを提供

このほど、コミュニティサイト「マインドストア」でインタビューに応じた中古車取引サイト「人人車」 は、中国国内で最も早く中古車取引にCtoCモデルを導入した。2014年4月に創設されたばかりなのに、わずか半年で2回の投資ラウンドを成功させている。そのシリーズBの調達額2000万ドルは、スマホ大手「シャオミ」の雷軍最高経営責任者(CEO)率いる順為基金と策源創投を中心に、レッドポイント[訳注:1999年に米国の元ベンチャーキャピタル関係者が設立。米国、中国、ブラジルなどに拠点を置き、ITスタートアップへの投資を行う]も加わった。企業価値は1億5000万ドルと評価されている。

一方、高級車両メーカー「ボルボ」はこのほど、中古車サービスブランド「尊沃認証二手車[訳注:「二手車」とは中古車の意味]をリリース、そこでは「CtoCにOtoOを加えたオープンプラットホーム」というコンセプトを打ち出した。

ボルボの手法は、複数の中古車取引オンラインプラットホームとボルボ代理店を結び、オンラインとオフラインの中古車関連リソースを統合して、オンライン上での査定・展示とオフラインでの検査・認証を組み合わせるというものだ。

同サイトと提携した中古車ネットプラットホームは、「易車二手車」「捜狐二手車」「二手車之家」「第一車網」「汽車街」「58 同城」など6社。また同サービス立ち上げ時に加わったボルボ代理店は北京中汽南方、上海永達、杭州中沃、成都通孚祥、広州永安の5社となっている。今後、提携代理店をさらに拡大していく予定で、2015年には15都市、2016年には30都市をカバーする計画とされる。

尊沃認証二手車サービスでは現在、ボルボ車(中国製含む)しか取り扱っていない。そして対象となる車には以下のように明確な基準がある。

(1)使用年数が60カ月以下であること。
 (2)走行距離が10万キロ以下であること。
 (3)営業車両として使われていなかったこと。
 (4)123項目に上る無料検査に合格したこと。

これらの要求を満たして初めて認証が与えられる。そして、この認証中古車を購入すると、購入から7日以内の交換、最低価格買い取り保証、走行距離を問わず1年間の品質保証、24時間の路上支援、そしてボルボがユーザーに提供している実験的サービス「ボルボ・オンコール」などのサービスが受けられる。

実のところ、BMW、アウディ、ベンツなどの高級ブランドメーカーも独自の中古車認証サービスを提供しており、尊沃認証二手車サービスが他者よりも早く出現したわけではない。ただし同社のサービスでは、認証条件に合格したボルボ中古車であれば、買った場所やルートにかかわらないという点が特徴だ。

個人向けに安心な中古車情報を提供する人人車、ボルボも協力へ

人人車とボルボには明らかな違いがある。

前者は無料の訪問検査・査定サービスによる「安心個人中古車」モデルを採用して、中古車のCtoC取引を実現している。人人車の創始者・李健氏は前述した、マインドストアのインタビューで次のように述べている。

「中古車取引の産業チェーンは長く伸びています。ユーザー体験の鍵を握るポイントは10を超えます。もしそれぞれのポイントで体験を20%向上させることができれば、全体的な体験は通常より4〜5倍も素晴らしいものとなるでしょう。我々はユーザー体験の細部に至るまで細心の注意を払い、最終的にカーオーナーに我々を選んでいただくことを目指しています」

現在、人人車の唯一の収入源は中古車購入者から受け取る3%のサービス料で、最低2000元(約4万円)、最大でも8000元(約15万6000円)まで。同社プラットホームでは多くのブランドを取り扱っているが、ボルボは無料でカーオーナーに認証サービスを提供するものの、その対象はボルボ車だけだ。

ボルボは人人車のようなCtoC中古車プラットホームをどう見ているのか?

「イノベーションの意識を持ち、クライアントにバリューを提供できる中古車取引プラットホームであれば、我々はそのすべてと協力したいと考えている。例えば、尊沃認証二手車サービスの基準に見合った車が人人車の中古車プラットホームで販売された場合にも、ボルボの販売代理店による認証検査に合格すれば、同様に無料の品質保証や道路レスキューサービスを提供する。ともにインターネットで共存していけるようにしたい」

中国における伝統的な中古車販売モデルは、車両リソース情報が事実と異なっていたり、販売車両の状況が分からないなど多くの問題を抱えている。そうした問題があるがゆえに、さまざまな新しい形態の中古車プラットホームが今、次々と誕生しているのだ。

(執筆:郝揚/ifanr.com 翻訳:高口康太 写真:@iStock.com/shaunl

※本連載は毎週火曜日に掲載する予定です。

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