2023/8/22

【為末大】能力主義の世界を、君たちはどう生きるか

NewsPicks 記者・編集者
成功は、あなた自身の頑張りと能力次第である──。
グローバルに広がる能力主義だが、スポーツの世界はそれが顕著な分野だ。常に競争相手と比較され、はっきり勝敗が決まる。
そして時に、生まれ持った才能がすべてを凌駕する。
この残酷なまでの能力主義に直面した時、私たちはどう生きたらいいのか。努力が叶わなかった時、自分の価値をどう考えるべきか。
過去3回五輪に出場し、世界選手権銅メダリストであるアスリートの為末大さんに、能力主義時代の生き方について聞いた。
INDEX
  • 2年目の選手に、あっさり抜かれた日
  • 自分は競馬の「馬」だったのか
  • バレンタインも「能力主義」
  • ウサイン・ボルトが「最強」でない世界
  • 人生は「2つの物語」を持とう

 2年目の選手に、あっさり抜かれた日

── 才能と努力が、結果に直結する。とりわけ、スポーツは能力主義が顕著な分野です。
為末 逆に、すがすがしいですよね。
非常に画一的なルールのなかで、身体能力で勝敗が決まる。
しかも、その能力は、多少の遺伝はあっても、富と違って、親からそのまま引き継ぐことができません。
だからこそ、「努力の末に手にした勝利」という感動のストーリーが生まれやすい。
そして、そこに人々はスポーツの魅力を見いだすのだと思います。
僕の選手人生も、まさに「能力主義」そのものでした。