【財務諸表を読みとくカギ】「のれん」とは、何を意味するのか? - 株の投資大全
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注目のコメント
のれんに関して、少し屁理屈っぽい話。
企業経営というものは次の3点をグルグル回すことです。
① 調達した資金をAssetに変え、
② 上手に使用・運用することで価値を創出し、
③ その価値を世(顧客)に提供することで収益を獲得する。
すなわち、本来、企業が持つAssetには価値(=CF)を創出する「ポテンシャルがある」「ポテンシャルがなければならない」ということ。モノの作り方やサービスの提供方法を変え、設備を変え、営業の仕方を変え、管理の仕方や議論の仕方などを含め、目の前の一つ一つの業務のやり方を変え、つまり事業のやり方を変えることで、Assetが持つ「ポテンシャルを引き出す」ことが本来の経営です。
このポテンシャルが「のれん」です。しかし、そのポテンシャルは自社(自分)では貨幣価値として測定できないため、会計上bookすることが禁じられています(自己創設のれん)。しかし、他社から買収される際に、買収価格として貨幣価値に置き換えられ(測定され)、会計上も表現されることになるものです。
逆に言えば、自社・自経営陣が、Assetが持つであろうポテンシャルを引き出せないと判断する場合に(他社が自身の経営ならポテンシャルを引き出せると判断する場合に)、事業の入替(M&A)がなされるものです。言い換えれば、M&Aはポテンシャルを引き出すマネジメント能力の有無を意思表示している。
ちなみに金融市場では「簿価純資産と時価総額の差」を係数によって算定するPBRという指標により、間接的に自己創設のれんを認識しています。昨今、巷を賑わせているPBR1倍割れは、見方を変えれば「ポテンシャルがない」又は「ポテンシャルを引き出すマネジメント能力がない」と評価されていること。