【グリー山岸広太郎】ゲームから上場準備まで、“必殺仕事人”の奮戦

2015/3/3
2004年にサービスを開始したGREE、 “巨人”mixiの前に会員数を伸ばせずに苦戦していた。PC版SNSでの負けを覚悟した田中良和社長とその参謀、山岸広太郎副社長は「モバイル版SNS」という新たなステージでの戦いを余儀なくされる。
だが、2006年7月に大きな転機が訪れた。KDDIとの資本業務提携だ。資本金6000万円ほどのグリーに3億6400万円を出資し、auの顧客向けサービスとしてモバイル版GREEを正式採用することを決めたのだ。創業からわずか1年半、売上高はまだ1億円を超えた程度の規模である。
KDDIとの提携という特大ホームランによって、グリーの会員数は大きく成長した。だが、収益化には苦戦していた。当時は、モバイル向けの広告市場が立ち上がっておらず、売上がついてこない。いくら会員が増えたところで収益にならなければ、莫大なサーバー代を食うお荷物サービスでしかない。
「ならばユーザーに課金してもらうサービスを考えよう」。グリーはモバイル広告以外のマネタイズ戦略を模索し始める。この頃、山岸は広告営業に加えてメディア事業全般を管轄していた。そこで考案した機能が、壁紙の着せ替えだ。
それまで簡素だったSNSのプロフィール画面で仮想通貨「ゴールド」を使って壁紙を購入、オリジナルのプロフィール画面を作成できる機能を設けた。爆発的ヒットとはいかなかったが、「そこそこの手応えを感じた」。これを皮切りに、アバターやアイテムを購入できる仕組みを構築した。「友達やコミュニティの仲間に自分のプロフィール画面を自慢したい」、そんな欲求をくすぐり、ゴールドの購入につなげる仕組みは、パズドラやモンストなど大ヒットゲームの源流である。
その後、グリーで最大のヒットが生まれる。「釣り★スタ」だ。