金融庁、千葉銀行と傘下証券処分へ 仕組み債で監視委勧告
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仕組み債は、もともとは債券などの発行体のクレジットリスクを取りたくない機関投資家などに向けて、クレジット以外のリスク(為替変動や不動産価格、特定の会社の株価、地震や台風など、可視化できてデリバティブ取引の対象になるリスクならほとんどなんでも)を引き受ける代わりになにがしかのリターン上乗せを受け取ってもらうように「仕組んで作る」債券のこと。いわば投資家に保険を引き受けてもらうようなもので、その際保険のプレミアムに相当するオプションのリスクを投資家に割高に買ってもらって、その儲けの一部を投資家自身にリターンとして配分しつつ、証券会社や仲介する金融機関(この場合は地銀)が手数料として儲けの大きな部分を取ってしまう、という仕掛けの金融商品です。
海外の取引先との為替取引を散々やっていて、為替の動きに慣れている商社やメーカーの財務部門がみている資金運用なら、トリプルA格付けに為替に関する仕組みを噛ませて利回りを上げるという細工はありだと思いますし、私自身も顧客からのリクエストを受けてやったことがあります。
しかし、個人にそれをやるのは、ちょっと無理があると、かねがね思っていました。まさか、個人の投資家に「仕組み債を買うことは保険リスクを引き受けていることと同じ」だと説明しているとは思えません。地銀の販売担当者に、オプションのプライシングを行う能力があるとも思えません。
それが、ざっくりと「複雑で高いリスク」などと言われるものの正体です。
一体、地銀は監視委の調査に対して、どんな説明で応じているのだろうか?謎です。売り手・買い手共に金融リテラシーが低い中で、経済合理的には誤解がなければ投資対象になりようがない商品を売ることが認められているのは不適切だ。個人向けの仕組み債販売をなぜ禁止しない?銀行と傘下証券だけでなく、金融庁も処分の対象になるべきだ。
リテイル向けの仕組み債販売については、かねてから問題視され、金融庁も警告や指導をしてきたので、千葉銀行と証券子会社の処分は一罰百戒的な感があります。本件の論点は、銀行に限らず証券会社も保険会社も、顧客に対しその金融商品が内包するリスクやリターン、販売会社の取る販売手数料などをきちんと説明ぜず、プッシュ型営業で販売してきた、という金融業者のカルチャーを是正すべき、という事でしょう。