この連載について
日本の製造業が大転換を遂げていた。それも知らない間に、無名の企業が台頭しているのだ。AI時代や経済安保時代の今、装置や部品、素材など社会を支える優良黒子企業の正体を明かす。
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関連する企業
競技用から日常用まで幅広く自転車部品を手がける。変速機、ブレーキ部品に強み。中国を中心とするアジアや欧州に事業展開。リール・ロッドなどの釣り具も扱う。
時価総額
2.05 兆円
業績
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日本最大手の自動車メーカー、世界でもトップクラス。傘下に日野・ダイハツを有し、SUBARU・マツダ・スズキとも業務資本提携。HV技術をベースにPHV、FCV、EVを展開。北米を中心にレクサスの販売も。
業種
自動車
時価総額
62.9 兆円
業績
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世界大手の半導体製造装置メーカー。コータデベロッパやエッチング装置などのほか、FPD製造装置なども手掛ける。海外展開もしており、地域別では中国・韓国での販売に強み。
時価総額
18.6 兆円
業績
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半導体製造向け等の透過電子顕微鏡やレアアース関連向け等の表面分析装置、走査電子顕微鏡等の計測機器を中心に展開。世界の理科学機器分野で高シェア。官公庁の研究開発予算や半導体関連の設備投資の影響を受ける。海外市場の開拓に積極的。
時価総額
3,275 億円
業績
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トヨタグループ傘下。エンジン関連等の自動車用システム製品、ETC・カーナビゲーション等の自動車関連製品を中心に、生活関連機器や産業機器等も手掛ける。主力の自動車部品では国内外で高いシェアを有する。
業種
自動車用電装品
時価総額
9.29 兆円
業績
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ファクトリー・オートメーション(FA)総合メーカー。ファブレス経営。FA用センサが主力。測定器、画像処理機器等も手掛ける。直接販売方式を推進し、海外展開を加速。
時価総額
17.1 兆円
業績
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消費者向け総合家電・メディア企業。テレビ・デジタルカメラ・スマートフォン・ゲーム機(プレイステーション)などデジタル家電、映画・テレビ番組・音楽などコンテンツ、世界トップシェアのイメージセンサーなどを手掛ける。事業ポートフォリオ再編を進め、2020年8月には上場子会社で生命保険などを手掛けるソニーフィナンシャルHDを完全子会社化。
時価総額
16.7 兆円
業績
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私は2009年ごろ。ものづくりは設計情報の「転写」であり、情報の流れがいいほど、生産性が高まるといったことを学びました。
すり合わせ(インテグラル)とモジュラーのアーキテクチャを知ったのもそのころ。
そして思ったことといえば、「それって、ものづくりに限らず、すべての仕事に共通していることではないか」と。
その時、記事の作成に膨大な時間がかかっていました。毎度毎度、文章を一から「すり合わせ」をし、奮闘していたからです。
「これをなんとかパソコンパーツのようにモジュラー化できないか」と考えていました!
…が、なかなかうまくいかず🥺
一つ分かったことは、手続きだけでもパターン化できる、いわば「プロセス標準」なら適応できると。
さらに、近年分かったことは、既存のリソースの再活用。例えば、過去に作った図。一部改変をすれば、再活用できることが分かりました。
最近では、今年のテーマを考え、そのテーマに沿った図については、汎用性を高くして、一部を再活用できるように、部分ごとに分けてモジュール化しています。
今回登場する図も、ベースとなるフレームワーク部分を共通化しました。
やはり、製造業の先人の知恵は、あらゆる仕事に汎用的に使えると理解しました。
読者のみなさんがオフィスワーカーであっても、ぜひこの記事のフレームワークを自身の仕事に糧に生かしてくださいな。
記事内で触れられている「マスカスマイぜーション」「モノからコトへ」については、マーケティング領域で言われる近しいセオリーとして、セオドア・レビット氏が提唱した「マーケティング近視眼(マーケティング・マイオピア)」を想起させられます。
「鉄道企業は自らの事業を”鉄道”ではなく、”輸送”と定義すべきだ」「顧客はドリルが欲しいのではなく、ドリルで空いた”穴”が欲しいのだ」などはその例として知られるところですが、自社の事業・製品を経営者自身が狭く定義してしまうことで、成長を阻害し、展開性を失わせるような近視眼に陥ってしまうことを言ったものです。
「マスカスタマイゼーション」「モノからコト」を、自社製品が持つ価値をその他の製品やサービスに転嫁させることと捉えると、”価値の展開”と言い表すこともでき、マーケティング・マイオピア的な視点に陥らず、事業・製品をよりメタなレイヤーで捉えることの重要性を感じます。
近年、製造業の現場ではセンサー・センシングの技術が高度化し、様々なノウハウやステータスがデータとして蓄積できるようになってきました。また、AIによるデータ分析も大きな進展を見せています。当たり前のように「モノづくり」「モノ売り」が言われてきた製造業は、今後、これらのデータを活用したサービス事業へ展開していくことが描かれます。
日本の製造業の未来は、まさにこうした製品アーキテクチャの捉え方にかかっているのかもしれません。
日本「移民なし」
の対比が新しい視点で面白かったです。
複雑なパラメーター調整(すり合わせ)が顧客価値になっている企業においては、長期雇用・多能工・チームワークが目指すべき組織像なのかもしれませんね。そういう点では、本連載でコメントを寄せた黒子企業は年功序列からくる「待遇面の満足度」と、良いチームづくりに寄与する「風通しの良さ」のスコアが高いというのも納得です。
左上がスクラッチ開発、右上がパッケージ、
左下がソリューション、右下がSaaS
という感じ。
右上は典型的にはSAPやSalesforce等にみえます。多様な機能はありますが、あくまで標準バリエーションの内です。成功した日本のITベンダは少ないですが、オービックなどが相当しそうです。
左下は顧客ニーズに合わせてパッケージを組み合わせて納入する形でしょうか。大塚商会などが近い気がします。基盤系だとありなのですが、業務系システムはカスタマイズ多くて左上のスクラッチに近く利益率が上がらない問題を抱えます。
コンサルティングは典型的な左上ですね。どうやったら右や下にゆけるでしょうか?コンサルパッケージを作れば右に近づきますが、そもそも数を売るのが難しいサービスです。下はコンサルマッチングサービスですかね。顧客が必要なところだけ個人コンサルをマッチングして雇うので仲介は儲かりそうです。右下は想像し難いです。生成AIでITサービス化するとできるかも。
単純ですが製造業の型を分類するにはとても良い枠組みと感じました
一方でマスカスタマイゼーションが良いとわかってても、なかなか実現できないのも事実
そこに必要な要件(領域✕自社のケイパビリティ)などもあわせて議論ができるとより立体的になりそうです
ぱっと考えただけでも、顧客の真のニーズを洞察できる営業力、モジュールの組み合わせでニーズを満たす設計力やそれを説得できる交渉力、大量のモジュール情報を整理して組み合わせられるようにしているDBやその活用、基盤となるデジタルなどなど高いレベルの合せ技であることが想像できます
せっかく内容が良いのに「ビジネススクールの」とかいうタイトルだと途端に薄っぺらい記事に見えるので勿体ない
追加: スタバって③?
ちなみに、ちょっと外れますが1990年に当時MITのRebecca Henderson教授が「core concepts/components」「core conceptsのつなぎ方」を2軸に、イノベーションを4つに分けています。ご興味のある方はHenderson x architectural innovationで検索してみてください。
いわゆるAPIエコノミーは「モジュラー」の話。
Best of Breed(トップクラスの製品をつなぎ合わせてベストのユーザー価値をつくる)と言えば聞こえは良いけど、企業をまたぐAPIエコノミーは、モジュラーの価値形成に留まることがほとんどで、すり合わせが必要なインテグラルの価値にいたることは、構造的に難しい。
今SaaS製品が乱立しているのは、モジュラーとしてつなぎ合わせることをユーザーに押し付けている状態だとも言えるし、モジュラーとしての価値しか形成できず、インテグラルの価値形成のフェーズに至っていないと言うこともできる。
APIエコノミーを否定するつもりはまったくなく、これはソフトウェア・シフトにおける大きな流れ。ただ、その中で、反APIエコノミーとして、1社でBundlingされた価値(インテグラルの価値)を、複数の自社ソフトウェアの高度なすり合わせを行って提供するソフトウェア企業が出てくると思います。
Microsoft、Servicenow、Salesforce等がアプリケーションレイヤーでインテグラルの価値を提供しているトップソフトウェア企業だと思いますが、記事にあるように、日本は「すり合わせ」に強いはずなので、ソフトウェアの勝負の土台がAPIエコノミー=モジュラーの世界から、インテグラルの世界に移るタイミングで、日本のソフトウェア企業が飛躍する可能性はあると考えています。
ユーザベースは、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくるために、特に、経済情報を用いた経営戦略策定を実行につなげていく、Bundlingされたソフトウェア価値を提供し、その1社になることを目指します!
もう少し思うことを書くと、外がインテグラルかモジュラーかは究極的には関係なく、異なる顧客それぞれが欲しいものを得られているか。
中・外モジュラーの例にあるSNSは「情報」なので、組み合わせがしやすく、個々人には全然違うものが表示されている。同じ位置にあるテレビは、顧客の趣向属性がそこまで変わらない(趣向属性は「コンテンツ」で実現)。
このように考えていったときに、商品・事業設計を「顧客ニーズを楽に叶えられるようにする」ことが全て。
ただ色々な商品・顧客がある中で、自社の文化が、どの時間軸や構造にあっているのかが、どこに向いているかに関わる。雇用慣習など含めて、日本は中でのインテグラルが強い部分が得意な傾向はある。
でも必ずしもそれだけで議論を出来るものではなくて、例えばリクルートとかはかなりモジュラーな発想だと思う。製造業でもミスミは中モジュラー・外インテグラルで、様々な金型部品を半製品の標準化と組み合わせで対応するというのが革命的。
・どういうところで稼げているか、というビジネスモデル分析というのはなかなかに簡単ではない。例えば、この記事で言及がある味の素のABFなどはどういうビジネスモデルかは普通に調べてもあまりわからなかったりする。
・このインテグラルとモジュラーの話、例えば、半導体のファウンドリービジネスなんかだと、うまく両方が組み合わさるんだよなあ。インテグラルxインテグラルもあるし、インテグラルxモジュラーもある。
とくに日本が歴史的に「人材不足という制約の中で多能工によるチームプレーで勝ってきた」ことは、人手がたりない今こそ重要な点なのかもしれません。
このモデルはサービス業などの現場にも応用できるでしょうし、AI活用も、このモデルに当てはめた戦略を明らかにして、取り入れるのがいいのだろうと思いました。