EUと米国、AI業界に「自主的な規範を」 法規制待たず対応強化
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政府はAI業界に自主規制を求め、AI業界は政府に法整備を求める構図。
この状況について、ネガティヴに見れば責任のなすりつけ合いですが、ポジティブに見れば規制が必要なことに両者が合意している。
実務上難しいのは、生成AIはポテンシャルが高いので、規制が強いと活用しきれず、ただリスクの振れ幅も大きく、具体的な問題は発生してから気付くという点。少なくとも、現時点のAIの性能で人類絶滅のリスクは低いので、問題が発生したら対策する改善サイクルを回すのでしょうね。
そのサイクルの素早さを考えると、政府よりAI業界の自主規制が適しているのは一理ありそうです。EUのAI規制はほぼ出来ているように見えましたが、合意に2〜3年かかる見通し。だから米国政府と足並み揃えて、業界に自主的な行動規範の策定を求めるとのこと。
しかし、原案はEUが作ると言ってます。EU AI規制案そのままでは厳し過ぎて業界の合意は難しいでしょう。
米国のOpenAIやIT大手は、EU AI規制案の第3レベル限定リスクにある透明性確保はむしろ積極的に規範に入れてきそうです。一方でハイリスクにある当局監査は避けたいはず。
来年の米国大統領選挙でフェイクが多発したら、米国世論が一気にAI規制に傾きかねません。AI企業もそれは避けたいはず。大統領選挙が1つの焦点になりそうな予感がします。
日本でも、AI開発企業だけでなく、AI活用サービス企業にも影響しますから、この動きは注視せざるを得ません。AIに関する法規制を待たずして、各業界でルールに関する議論が進んでいます。
EUと米国が連携しAI業界を巻き込み自主的な行動規範の策定することで、グローバル基準の枠組みをEUと米国で構築しようとしています。
G7でルールづくりに向けた議論「広島AIプロセス」が行われ、日本が取りまとめ年内にG7としての見解をまとめると報道されていましたが「それでは速度的に遅いので自主的に動きます」ということがこのアクションに込められていると思います。
日本でも各業界で見解が発表されていますが、AIの開発速度が早いため、業界単位あるいは組織単位で早急に手を打たないと間に合わない、というのが現状です。
AIに関するルールづくりは多くの企業がすでに検討に入っていると思いますが、技術は日々進化し状況は変化しますので、何度も見直しが必要になると思われます。
その議論にはPR視点が必要になるので、経営層は必ずPRの責任者を議論に入るようにしてほしいと思います。