ステーブルコイン、日本で年内発行へ 1000兆円市場開拓
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改正資金決済法の施行がいよいよですね。1000兆円市場開拓は、キャッチーな見出しですが、ステーブルコインが、そこまで多くの経済で使われるようになると業界の一端を担っている身としては、嬉しい限りです。
施行されてどうなるの?というのが多くの方の疑問かと思います。施行されたからいって、その日から新しいステーブルコインが発行・流通されるわけではありません。
ステーブルコイン(電子決済手段)が、発行・流通されるまでには、様々なハードルがあります。例えば、ステーブルコインの仲介を担おうとすると、今回の改正資金決済法で新設された、電子決済手段等取引業の登録が必要となります。新設の業ですから、このプロセスは、相応に時間がかかると考えられます。
また、銀行発行のスキームについては、銀行法側の手当も必要だと思いますので、もう少し時間がかかろうかと思います。
ただし、今回の改正資金決済法では、日本国内におけるステーブルコインは、電子決済手段として定義されましたので、該当しないものについては別の議論になります。
具体的には、発行者が、犯罪による収益の移転防止に関する法律に基づく取引時確認を行った者にのみ移転を可能とする技術的措置が講じられており、かつ、移転の都度発行者の承諾その他の関与が必要となるものは、「不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる」 の要件を満たさず、電子決済手段に該当しないとされています。(電決業GL I-1-1②)
既存の銀行発行デジタルマネー等はこの類型に該当するものが多いのではないでしょうか。
ステーブルコインというと、特にweb3界隈の方々は、USDTやUSDCを想像しがちだと思いますが、国内発行のニーズは、そういったものだけではなく、企業や域内でコントラクトと対になって決済する、DvPやPvPにおける決済の簡素化や、A2A取引の自動化等、様々なユースケースに転用できると思っています。
国内でのステーブルコインの発行・流通が可能になることで、ブロックチェーンを用いた決済が、実体経済に資する形でユースケースが広がっていく事が期待されます。この事業自体を行う事業体が、法規制上もこのステーブルコイン発行事業のみで単体収益を取れないと見ているので、どのような勝算をもってこの分野に踏み込むのか気になるところです。
それでもなお大きなマーケットがあるのは事実なので、その意味でも海外USDC,USDTみたいなモデルとは違うユースケースの掘り起こしになるのではと思っています。