2023/5/29

【勃発】中国とオーストラリアの「リチウム戦争」が凄まじい

NewsPicksでは週7日毎日、世界の最先端トレンドを追う連載を開始しています。月曜日は「Must Read(今週のビッグテーマ)」です。
INDEX
  • 精製は中国の「1強」
  • それでも「脱中国」が必要な理由
  • 脱中国、一番の難関は?
  • 豪中の「地政学」は悪化中

精製は中国の「1強」

西オーストラリア州の奥地には、赤土の大地を見下ろすように、国内最大手の民営リチウム採掘会社ピルバラ・ミネラルズの広大なリチウム精製工場がそびえ立つ。
液状になった何トンものリチウム鉱石がパイプを通過すると、工場も揺れる。
ここは、近接する鉱床で採掘された鉱石からリシア輝石を取り出す工場だ。
ピルバラ・ミネラルズのリチウム鉱山。この重要な電池材料の世界供給の半分はオーストラリアで採掘され、事実上そのすべてを中国に出荷している。政府と企業は、現状を変えることに賭けている(写真:Matthew Abbott/The New York Times)
リシア輝石は、リチウムを約6%含む緑色の結晶性粉末で、1トン5700ドル(約80万円)程度で販売される。中国への輸送後、リシア輝石はさらに製錬され、携帯電話や電気自動車などの電源バッテリーに使える素材になる。
オーストラリアは、世界のリチウム供給量のおよそ53%を採掘している。
そのほぼすべてを購入しているのが中国だ。