世界でも珍しい「樹氷」、1000年前から形成…温暖化で今世紀末に消滅の危機
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このような記事を読むと温暖化問題を肌で感じますが、普段の生活をしている時にはそれほど問題意識していない。美しい自然現象がますますなくなっていくのは人間のエゴに感じます。
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樹氷って世界的にも珍しい現象だったんですね。まるで日本海側の冬の雷みたい。こういう、さまざまな条件が重ならないとできない珍しい現象が見られなくなるのは寂しいです。
樹氷は、ただ雪が樹木にまとわりついたものではありません。近づいてみると風上側に向かって氷が伸びていっており(エビのしっぽと呼ばれることもあります)、過冷却水滴という0℃以下の水が重要であることがわかります。
冬の日本海から水蒸気が補給され雲となりますが、雲の中にはまず過冷却水滴が大量に作られます。そのうちに別の粒子との衝突などのきっかけによりどんどん凍って雪となるわけですが、一部残った過冷却水滴が山の木々にぶつかるために樹氷になるというメカニズムをたどっています。研究の歴史は古く、大正時代に蔵王で発見されて以降多くの研究テーマとなったほか、雪の結晶の研究で有名な中谷宇吉郎博士も加わって樹氷の成因が明らかとなってきています。
しかしその蔵王での樹氷は1940年代には標高1300m以上でふつうにみられる現象であったのが、2010年代には1600m以上でなければみられなくなってきており、面積では4分の1になっているとのことです。
樹氷が形成される条件で最も厳しいのは、常緑の針葉樹(アオモリトドマツ)が必要だということです。ついで、過冷却水滴が風に乗ってたくさんやってくる環境が必要です。
温暖化による気候変動にくらべ植物の生息範囲の拡大はゆっくりで、アオモリトドマツは現在北限が青森ですが、これが北海道にまで拡大するには数百年かかるでしょう。いっぽうで気候変動は着実に進行しており、蔵王をはじめとして奥羽山脈沿いの樹氷はほとんど失われる勢いがあるという記事になります。
樹氷が失われるのはもはや止められませんが、観光資源の一角を失うというのは地元にとっては死活問題かとも思います。