日本全国のスタートアップを知る:北海道編
今回から、『日本全国のスタートアップを知る』をテーマに地方のスタートアップにフォーカスしたシリーズを始めます(頻度は週1〜2回を目指してみます)。
スタートアップと言えば、東京。
しかし、面白いのは市場としては未成熟なのに、個別企業でみれば、地方でも大型調達に成功し始めていること。
第一弾の本記事では、北海道のスタートアップシーンを紹介します。
☕️coffee break
直近5年間で、北海道拠点のスタートアップによるエクイティファイナンスの資金調達総額は以下のようになっています。
2018年:34億円
↓
2019年:69億円
↓
2020年:23億円
↓
2021年:63億円
↓
2022年:57億円
右肩上がりに調達額が増加し続けているわけではありませんが、2017年までは30億円を超えたことは一度もありませんでした。
それが、2019年からスタートアップ数社の資金調達額が全体の数字を大きく引き上げるようになりました。
「各年度の大型資金調達」
• 2019年
・五稜化薬:14.5億円調達
がん部位を蛍光で光らせるナビゲーションドラッグの開発
・バーチャルキャスト:10億円調達
ソーシャルVRサービス
•2021年
・ファームノートホールディングス:14.4億円調達
酪農・畜産業界に特化したIoTソリューションの開発
・エヌビィー健康研究所:7.4億円調達
医療用機能性抗体の開発
•2022年
・インターステラテクノロジズ: 約38億円(一部、現物出資による調達)
ロケット×人工衛星の垂直統合サービス
🍪もっとくわしく
企業評価額上位5社を見てみましょう。
1. インターステラテクノロジズ
評価額225億円、総調達額57億円(2022/12/30時点)
ロケット×人工衛星の垂直統合サービス
2. いずみホールディングス
評価額85億円、総調達額10億円(2020/4/30時点)
水産・畜産・農産の卸売、プラットフォーム事業
3. ファームノートホールディングス
評価額77億円、総調達額32億円(2021/9/16時点)
酪農・畜産業界に特化したIoTソリューションの開発
4. エヌビィー健康研究所
評価額57億円、総調達額15億円(2022/4/26時点)
医療用機能性抗体の開発。北海道大と共同研究
5. 五稜化薬
評価額50億円、調達額30億円(2019/11/29時点)
がん部位を蛍光で光らせるナビゲーションドラッグの開発。北海道大の知財を活用
いずれも、北海道ならではの事業を展開していることがわかります。
が、ポイントは、東京の投資家を中心に資金調達をしていること。
それもそのはずで、現在、北海道でのスタートアップ投資に特化したファンドを運用しているのは、
・北海道ベンチャーキャピタル
・POLAR SHORTCUT
・ほくほくキャピタル(北海道銀行グループ会社)
・北海道二十一世紀総合研究所
のわずか4社にとどまっています。
あまり知られていませんが、2021年7月に北海道大学の宝金学長がVCを立ち上げる構想を明らかにしました。このことからも、北海道での資金調達の難しさが伝わってきます。
なお、北海道大学認定のスタートアップは26社ありますが、そのうち6社が東京に本社を構えています。
大型調達の成功例が出始める中、北海道においては、東京の投資家をいかに集められるかが、そのカギの一つとなっているわけですね。
🍫ちなみに
他の都道府県に比べるとまだまだ北海道の行政は積極的ではありませんが、最近、札幌市役所が初の「スタートアップ推進係長」を民間から公募で選びました。
2020年以降、経済産業省北海道経済産業局も、STARTUP CITY SAPPOROと共同で、道内のスタートアップエコシステムの形成・強化を目的に、「J-Startup HOKKAIDO」を始動させています。
経済産業省は2018年から、世界で勝てるスタートアップ企業を生み出すための集中支援プログラム「J-Startup」を開始。このプログラムの地域版が「J-Startup HOKKAIDO」で、公的機関と民間企業が連携し、現在40社が支援を受けています。
北海道ならではのスタートアップ育成、そのエコシステムが育っていくかどうか。これからの動向にも注目です。
サムネイル画像:Unsplash/KIBOCK DO
コメント
注目のコメント
北海道はアジア圏ではとても有名で、地域資源と言う観点では可能性は無限大にあるでしょう。札幌市が導入した民間のスタートアップ促進の方を初めて知りましたが、ぜひいちど会ってみたいです。たった1人のイノベーションが世界を変えることがあります。札幌はとても好きな街でもあるのでとても期待しています。農業に関してもデータ農業を入れていくと可能性はものすごくありますし、冬の時期でも対策を打つことができれば唯一無二のテクノロジーの活用方法が見えてくるのではないでしょうか
昨年北海道のスタートアップの資金調達総額は57億円だったと書いたのですが、これは全国で9番目です。
北海道よりも資金調達総額の大きい地域を順に見ていくと、
①東京
②福岡
③神奈川
④京都
⑤大阪
⑥愛知
⑦山形
⑧熊本
あれ、大阪が意外に低い。え、熊本にどんなスタートアップがあったけ?
そう思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今後、週2回ほどの頻度で取り上げていこうと思います。AWLはどうでしょう?プロピッカーの富山さんも絡んでる会社です。
https://sp-shigotozukan.com/interview/594/
何かのランキングで見たことある気がしますが勘違いかも。