[ロンドン 27日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は27日、政策当局者はインフレ対策に焦点を当て、世界的な銀行システムの健全性を巡る懸念に過度に左右されることはないと示唆した。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでの講演で、世界の銀行セクターには「大きなひずみ」があるとしながらも、英国の銀行には耐性があり、経済を支えることができると指摘。「金融行政委員会(FPC)が金融の安定確保に専念することで、金融政策委員会(MPC)はインフレ率の目標回帰という重要な責務に集中できる」と述べた。

また、持続的なインフレ圧力の兆候が明らかになれば、一段の金融引き締めが必要になると見解を改めて表明。「足元のインフレ見通しを見ると、利上げの効果が金融市場や実体経済を通じて十分に発揮されるのはまだ先であることを認識しなければならない」とした。

銀行の取り付け騒ぎに関してはソーシャルメディアによって情報が急速に拡散されるとし、この点について規制当局は留意する必要があると言及。一方で、世界の銀行システムにおける緊張の高まりを受けて、英国の信用状況が引き締まったかどうかを判断するのは時期尚早とした。

総裁は講演後、ロイターに対し、英国の信用状況が世界的な銀行システムのストレスに反応して引き締まったかどうか判断するのは時期尚早だと指摘。

「非常に短期的な事実はあるが、金融政策には長期的な事実が必要だ」と述べた。