イスラエル、司法改革巡る決定を来月に延期 抗議拡大で
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「内戦を回避するため」というのは、それほど大げさではなく、内戦に近い状態は覚悟した方がいいくらいの状況でした。
きのうから、イスラエル史上初のゼネラル・ストライキが始まっています。
民間企業に限らず、公共機関もストライキに入っています。
空港、地下鉄、学校、大学、病院、等々も、ストライキに入っています。ただし、病院などは必要に応じて患者を受け入れています。
停止しているというより、自主管理で全国的に調整して運営しており、イスラエルの労働者の優秀さを示すものです。
膨大なデータ処理をしながらリアルタイムで調整しなければならず、こんな現代的なゼネストができるのはイスラエルくらいでしょう。
しかし、ネタニヤフ首相は、おとなしく辞任する様子は見せていません。
ユダヤ宗教政党を政権基盤とするネタニヤフ首相は、宗教政党「ユダヤの力」党首である治安大臣に、独自の民兵組織を発足させるよう指示しました。
この治安大臣は、「カハ」というユダヤ教過激主義としかいいようがない結社出身の人で、イスラエルからのアラブ人の消滅を提唱しています。
ネタニヤフ首相と複数の宗教政党は、選挙で多数派を取っているくらいですから、人数はいます。
今は、世俗派のユダヤ人たちは空前のゼネストを組織しましたが、ユダヤ教正統派のユダヤ人たちが本当に武装して反撃に出るのなら、ユダヤ人同士の衝突になるところでした。
とりあえず、ネタニヤフ首相は「司法改革」を中止(もしくは延期)、世俗派はゼネスト終了、ということで、ひとまず収まりそうです。「ユダヤの力」との連立を発表したときから、具体的な政策で色々と衝突が起こると想定していましたが、かなり大事になっていますよね。
ある意味宗教国家としてのイスラエルにとって、宗教的右派やパレスチナとの関係は大きなリスクでもあります。日本企業がイスラエルに進出することはいいことですが、イスラエルという国(特に国際関係と公共政策)についてどの程度理解し、リスクとベネフィットを考えているのでしょうか。例えばエコシステムの可能性という文脈だと「アラブ系のイスラエル人をどうエンパワーするか?」、「ユダヤ教正統派、超正統派をテクノロジー活用やスタートアップエコシステムにどう巻き込むか?」などがイスラエルでは大きな論点になっているのですが、日本だとあんまりこういう点は報道されず、紋切り型のイノベーション・エコシステムの素晴らしさ(地政学的な観点からのテクノロジー活用、軍隊システムに由来するネットワーク、ユダヤ教的な教育レベル等)ばかりがフィーチャーされるのは改善の余地ありだと思います。先週の電話会談でバイデン大統領が懸念の意を示し、ホワイトハウスがイスラエルの内政に珍しく介入したことも注目されていますね