【提言】日本の少子化は「6.1兆円」で解決に向かう
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イスラエルで合計特殊出生率が3を超えているのは、移民国家で宗教国家だからですね。
児童手当増額と無関係に人口は従来から増え続けています。
児童手当とか学費無料で出生率が大幅に増えた先進国はありません。6.1兆円では出生率は0.5も増えません。
増えるとしたら、宗教を含む社会の圧力か、移民です。
イスラエルは、ユダヤ人とアラブ人(パレスティナ人)の国家ですが、主導権を握っているのはユダヤ人で、人口面でアラブ人に負けないようにあらゆる手を尽くしてきました。
具体的には、世界各地から「ユダヤ人」に該当する人々を誘致してきました。つまり、移民です。
イスラエルはもともとがヨーロッパから移住してきたユダヤ人たちがアラブ人が住んでいたところにつくった移民国家ですが、さらにユダヤ人数の優位を確保するために、ヨーロッパ、ロシア、ウクライナ、南北アメリカ、中東、アフリカからまで非常な優遇を提示して、住居も用意して(もともとアラブ人が住んでいたところにつくった「入植地」)、移民を誘致してきました。
「ユダヤ人」といっても、母語はバラバラで、彼らに衣食住と仕事を用意して、ヘブライ語を教え込むことで、「ユダヤ人」の数的優位を確保してきました。
1947年のイスラエル建国戦争(第1次中東戦争)の頃には、イスラエルに住むユダヤ人は63万人で、アラブ人は132万人でした。
現在は、ユダヤ人は710万人ですが、アラブ人も増えて255万人です。ただし、それと別に、パレスティナ自治区に492万人のアラブ人がいます。
1947年から2022年までに、ユダヤ人は63万人→710万人に増えたのですから、それは少子高齢化とは程遠い国です。
イスラエルこそ、世界で最も積極的に移民を誘致して少子化問題を解決している国です。
ただし、誘致したユダヤ人(特にロシア、ウクライナから)の多くがユダヤ教正統派だったことから、ユダヤ人の出生率は彼らによって高くなっています。
ユダヤ宗教政党が政権の中枢に入るようになり、本来は世俗的だったイスラエルはユダヤ人の宗教国家に変貌しつつあります。
そのため、現在ユダヤ人の間には分断があり、世俗派はゼネラル・ストライキで政権を倒そうとしています。
いずれにしろ、イスラエルのユダヤ人は、今後もあらゆる手段でユダヤ人人口を増やそうとするでしょう。子育て負担を劇的に減らせば、結婚している人が子供の数を増やしやすくなる面から一定の効果が期待できるでしょう。
ただ記事中で指摘されているように、最大の要因は婚姻率の低下ですので、その財源を拙速な増税などで賄うことで所得環境自体が悪化すれば、本末転倒の可能性もあるでしょう。我が国の少子化の原因は、複合的なものです。
① 人口(そもそもの女性の数)が減っている
② 未婚率の上昇(結婚しない人が増えている)(※日本では「結婚して子どもを産む」というのが制度化されてしまっている)
③ 晩婚・晩産化や経済的負担などで、産みたい数の子どもを産めていない
それぞれの要因の少子化への寄与率(どれがどれくらい影響しているか)については議論がありますが、いずれにしても、上記それぞれに対して、対応を考える必要があります。
その具体策については、これまでいろいろなところで述べさせていただいているので、ここでは割愛しますが、今回敢えて申し上げたいことは、
大学で教える機会をいただいて思うことは、若い皆さんが、「ほどほどでいい、結婚することに意味を見出せない、将来に希望を感じない」といった、漠然とした不安と閉塞感(と、それでも、なんとかなるっしょという安心感もあり)。
そしてまた、「少子化が大変!子育ては大変!」と報道されればされるほど、「そうか、子どもを持つのは、大変なことなんだな」「国を支えるために、子どもを産めと言われているんだな」と、ネガティブな印象が植え付けらてしまいます。
それと、ちょっと言葉は悪いのですが、以前から思うこととして、「カネを配れば、子どもを産むだろう」という発想は、ちょっと女性を冒涜しているおそれがあると思います。「月数万円で、子どもが育つと思わないでほしい」、「10か月妊娠して、出産して、場合によっては産後鬱になって、そして、なんだかんだと家事と育児の負担はほとんど女性がかぶって、ああ、なんだかもうやってられん」という、やり切れない思い、
そして「家事も育児も全くやってきておらず、差別も受けたことのない方々が、日本の『少子化対策』や『女性活躍』を考えている」という矛盾や諦めの気持ち、
いろいろをきちんと理解し、寄り添うことから、始めていただくことが大事なのではないでしょうか。