2023/3/26

【注目】シリコンバレー発の新学問「進歩研究」とは何か

米ニューヨーク・タイムズの名物ポッドキャスト「エズラ・クライン・ショー」。ホストのエズラ・クライン記者が、各界の第一人者とビッグイシューについてじっくり語り合う。
今回のゲストは、オンライン決済企業「ストライプ(Stripe)」共同創業者兼CEOのパトリック・コリソンだ。
「シリコンバレーで最も成功した若手起業家」の一人であるコリソンは、ここ数年、「シリコンバレーで最も重要な思想家」としての顔も持つ。
いま、コリソンが推進しているのは「プログレス・スタディーズ(Progress Studies=進歩研究)」と呼ばれる新たな学問だ。
「変化の時代」を生きる私たちは「進歩」を当然のものとして受け取っている。しかし、進歩とは私たちが考えているよりもずっと希少で、脆弱なものだというのが、この学問の主張するところだ。
思えば人類の歴史は、20万年近くにわたって明らかな進歩とは無縁のまま進んできた。本当に驚異的な進歩が起きたのは、ここ200年ほどのことだ。
21世紀を生きる私たちは、そのレガシーを拠り所としている。しかし、このまま指数関数的に進歩が加速すると考えられる理由はどこにもないことをコリソンは指摘する。
いま、気候変動をはじめとする数々の問題を前に、科学技術の進歩が人類にとって死活問題であることは言うまでもない。それを踏まえると、ひとつの学問分野として「進歩の法則」をもっと広く、深く研究すべきではないかとコリソンは呼びかける。
この対談では、いまや大勢の賛同者を得ている「進歩研究」の世界観を覗いてみよう。
INDEX
  • ①科学の進歩は「減速」している
  • ②「大発見」はなぜ減ったのか
  • ③「科学大国」が移り替わる理由
  • ④進歩とは「希少な」現象である
  • ⑤「進歩」をどう定義するか