[ワシントン 21日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は21日、ロシアの侵攻を受けるウクライナに対し、4年間で総額約156億ドルの金融支援を行うことで事務レベルで合意したと発表した。
IMFスタッフとウクライナ当局は数カ月にわたり協議を行ってきた。支援プログラムにはIMF理事会の承認が必要で、数週内に理事会で協議される見通しだとした。
関係筋によると、IMFの事務方は理事会メンバーに合意内容を説明。ロシアが2022年2月にウクライナ侵攻を開始して以降で最大の融資となる同プログラムに理事会は支持の姿勢を示したという。
IMFはこの合意により、国際的なドナーやパートナーからウクライナに対する大規模な譲許的融資を引き出すことが期待されるとしている。
IMFのギャビン・グレイ氏は声明で「紛争がさらに激化するリスクなど逆風が依然として残るものの、重要インフラへの深刻な被害から経済活動が回復するのに伴い今後数四半期に緩やかな景気回復が見込まれる」と述べた。
同氏によると、IMFスタッフが現在見込む2023年のウクライナの実質国内総生産(GDP)伸び率はマイナス3%─プラス1%という。
ウクライナのシュミハリ首相は合意を歓迎し、IMFに謝意を表明。「過去最大の財政赤字を出している状況下でこのプログラムは、全ての重要支出の財源を賄い、マクロ経済の安定を図り、海外のパートナーとの交流を強化するのに役立つだろう」とした。
イエレン米財務長官も合意を歓迎。野心的で条件が適切なIMFの支援は、財政だけでなく、「優れた統治の強化や汚職リスク対策を含むウクライナの改革の取り組み」を支えるとして重要性を強調した。
理事会の承認で最終決定されれば、紛争が進行している国に対するIMFの過去最大の金融支援となる。