気付いたらリピーターにお店でもらうスタンプカードに「つい頑張っちゃう」納得理由
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マーケティング論の一分野である「消費者行動論」は、主として経済学の系譜を持つ研究領域であるため、そこでの消費者の前提は「合理的」な行動を取る点にあります。つまり、「メリットがある方に人は動く」ということが前提になっているため、必ずしも現実的ではない部分もありますが、ビジネスとくにマーケティングには多くのヒントを与えてくれます。
この記事内で触れられていないこととしては、消費者がどのような時に、よりポイントを集めようと行動するかです。
消費者行動論には「関与」という概念があります。文字通り、消費者がその商品サービスに関わっている度合いを表す概念ですが、わかりやすく言えば、「どれくらい興味があるか」「どれくらいロイヤリティがあるか」などの心的なつながりです。
当たり前のことですが、関与が高いほど購入意欲は高くなり(ポイント収集意欲も高くなる)、関与が低いほど購入意欲は失われていきます(ポイント収集意欲も低くなる)。記事内で報告されていた、購入回数が多くなるほどポイントを集めようとする傾向が強くなったという現象は、購入を重ねるごとに関与度が段々と強くなっていったことの現れだと言えます。
なお、もう一つ記事で触れられていないこととしては、商品サービスのタイプ(マーケティング論では「商品分類」という)の違いによる、ポイント収集意欲の別です。一般的には、スーパーやコンビニなどの身近な店舗で販売されている比較的安価で、競合品が多く、違いがわかりにくい商品サービスほど、ポイント収集行動が取られやすい傾向にあります。
その理由は、これらの商品サービスは、商品間の違いがわかりにくいことから、消費者自身がそれを買うためのしっかりとした理由付けがしにくい(=購入を正当化するためのエビデンスがない)ため、ポイント収集という別軸での購買が喚起されやすいことが挙げられます(ex. スーパーマーケット、レンタルサービス店、カフェ、ビジネスホテルなど)。
企業側も、消費者に対して明確に買うべき・選ぶべき理由を示しにくい、言い換えれば商品サービスの力で囲い込みやリテンションがしにくいことから、こうした特性を持つ商品・サービス・店舗では、ポイントプログラムを活用する効果が比べると得やすいことが言えます。スタンプカードでいうと東横インが上手くやっている印象です。確か初回に1,500円が必要だったと思いますが、毎回宿泊費が割引料金になりますし10泊すると1泊分無料になります。無料で宿泊したときも領収書を出してもらえるようなので会社員の知人数名はその分も経費精算して丸儲けしているようで、そもそも時期による宿泊費の変動が小さいのもありがたいようです。
気軽に始められるし、効果も実感できるのでしょうね。利用側としては毎回出すのが、面倒なのとかさばるのが難点。
便利だなと思うのはPayPayのクーポンです。アプリ側で獲得しておけば支払い時に自動的に適用されます。利用者にもお店にも負担が無い(クーポン獲得するのが面倒ですが)。ただ、クーポンのない時は利用率は下がるかもしれないことを考えると、スタンプは偉大なのかもしれませんね。