UBS、クレディ・スイスを約4300億円で買収へ-歴史的銀行統合
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政府が株主承認の手続きをすっ飛ばし、社債権者を株主より完全劣後させるという、前代未聞の強硬手段でディール成立させた。
これが果たしてシステミックリスクを防ぐためなのか、国家の基幹産業である銀行業を、その看板企業の同行を守るという国家エゴのためなのか、どちらのモチベーションが強く働いたのか(結論両方だと思うが)により、これが英断とも、経済史に残る暴挙という見立てとも、いずれもあり得るだろう。
注目のコメント
UBSによるクレディ・スイスの買収、電撃合意ですね。この時間軸でディールをまとめたすべての関係者に敬意を表します。
CSのプレスリリース(https://www.credit-suisse.com/about-us-news/en/articles/media-releases/credit-suisse-and-ubs-to-merge-202303.tag*article-topic--media-release---adhoc-release.html)からは、当局からごり押しされたことを匂わせるニュアンスが、多数垣間見えます。
実際に、多額の流動性保証、損失補償を行い、株主承認手続きを省略することができる特別の政令まで制定しているわけで、ものすごい介入の仕方です。
UBSは、当初要求していたMAC条項を取り下げたようですが、その裏には買収の確実性を上げたい当局による強いプレッシャーがあったのでしょう。
クロージングは、今年の年末を目指すということですが、各国当局の許認可(金融・競争含む)をこれから取得する必要がありますし、不満を持つ株主が法的介入する可能性も否定できないように思われ、今後の行く末も注目だと思います。規制のテクニカルな話で恐縮ですが、G-SIB規制導入後初めてのG-SIB間の買収なので、G-SIBサーチャージの計算をどうするのかも興味深くみております。規模やコンプレクシティ要因でサーチャージのバケットが上がってしまう可能性があるわけですが、一方で実質的には救済合併なのでそのまま適用するのか?という議論はありそうです。(いずれにせよ、G-SIB規制導入時には想定していなかったケースですので。)
スイス中銀は金融システムを保護したいので、公的保証をつけてでもクレディスイス破綻は避けたい。UBSはクレディスイス買収後の訴訟リスクを回避して、既存株主の利益を守りたい。クレディスイスは既存株主に説明するため、買収価格が現在の株価を大きく下回ることは避けたい。3社の思惑が調整されての買収ですね。個人的には97年に新卒でUBSに入り、SBCとの合併を体験しました。その後も金融危機が起きるごとに、クレディスイスとの合併が噂されてきたので感慨深いです。