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UBSによるクレディ・スイスの買収、電撃合意ですね。この時間軸でディールをまとめたすべての関係者に敬意を表します。

CSのプレスリリース(https://www.credit-suisse.com/about-us-news/en/articles/media-releases/credit-suisse-and-ubs-to-merge-202303.tag*article-topic--media-release---adhoc-release.html)からは、当局からごり押しされたことを匂わせるニュアンスが、多数垣間見えます。

実際に、多額の流動性保証、損失補償を行い、株主承認手続きを省略することができる特別の政令まで制定しているわけで、ものすごい介入の仕方です。

UBSは、当初要求していたMAC条項を取り下げたようですが、その裏には買収の確実性を上げたい当局による強いプレッシャーがあったのでしょう。

クロージングは、今年の年末を目指すということですが、各国当局の許認可(金融・競争含む)をこれから取得する必要がありますし、不満を持つ株主が法的介入する可能性も否定できないように思われ、今後の行く末も注目だと思います。
規制のテクニカルな話で恐縮ですが、G-SIB規制導入後初めてのG-SIB間の買収なので、G-SIBサーチャージの計算をどうするのかも興味深くみております。規模やコンプレクシティ要因でサーチャージのバケットが上がってしまう可能性があるわけですが、一方で実質的には救済合併なのでそのまま適用するのか?という議論はありそうです。(いずれにせよ、G-SIB規制導入時には想定していなかったケースですので。)
スイス中銀は金融システムを保護したいので、公的保証をつけてでもクレディスイス破綻は避けたい。UBSはクレディスイス買収後の訴訟リスクを回避して、既存株主の利益を守りたい。クレディスイスは既存株主に説明するため、買収価格が現在の株価を大きく下回ることは避けたい。3社の思惑が調整されての買収ですね。個人的には97年に新卒でUBSに入り、SBCとの合併を体験しました。その後も金融危機が起きるごとに、クレディスイスとの合併が噂されてきたので感慨深いです。
交渉難航していたが、何とか決着つき、世界の金融システムへのリスクが一旦緩和されてよかった。
アジア市場が開くまでにどうにかするのが重要だったわけだが、7時20分現在、ドル円変わらずの131.9円、ダウ先物は+300ドル弱、日経平均先物は-500円弱。日経平均先物の下落のうち、約300円分は3月末の配当落ちの差分で、実質は約200円の下落、かつ金曜の欧米株下落を考えると、落ち着いているというのが現時点の所感。
ただ、実際に市場が開き、今日含め数日間でどう動くか次第。先週も一旦は流動性供給を歓迎したが、翌日に再び下落し、今回のディールとなった。

UBSの発表は下記。なおCSはリリースのみでプレゼンはなかった。
https://www.ubs.com/global/en/investor-relations.html

内容は記事の通り株式交換30億フランと、政府保証90億フラン。決裂しそうだった段階ではそれぞれ10億・60億だったので、金額的には当局が保証を増やしたうえでUBSが上乗せした形。この段階で20億フランの買収金額の差は大したものではないと思い、ディールをするのかしないのか。UBS・CS・当局が交渉した形を残して何とか妥結したという印象。

ディール実施、各国当局の許認可次第だが、スイス政府含めて交渉し、Q2末までに時間軸の確定を現時点では狙う。また政府特例で株主総会を経ずに買収を承認。

損失保証は合計で250億フラン。まず既存のCSの158億フランのAT1債(Additional Tier 1債、債券ではあるが有事に優先的に返済義務がなくなる分利率が高く、コア資本にも一定計上できるもの。が今回株よりも劣後されている?今後議論になりそう…)と、当局がノンコア資産でロスが出た場合は最大90億ユーロまで保証。なお、最初の50億ユーロはUBS負担なので、UBSのリスクテイクは現在ざっくり80億ユーロ(30億ユーロの買収+50億ユーロの潜在的損失)。
負ののれんが出る買収だが、その活用については何の制限もない(その時点で利益底上げ効果がある)というもの。
2027年までに80億ドルのコスト削減して、EPSへの累積的プラス寄与を狙う。UBSの既存戦略は維持し、米国・アジアでの成長や継続的な増配(Progressive Dividend)を継続。
世界金融危機の際のUBSと同じく、今回のクレディスイスも主として国際業務に起因する問題によって、最終的に政府の支援を仰ぐ事態に陥った訳です。現時点で、公的資金が直ちに投入される訳ではないようですが、債務保証や流動性供給などの支援は行われると報道されています。

こうした事態に対してスイス国内の世論がどのような反応を示すのかが注目されますし、FINMAやSNBが新生UBSの国際業務にどのような監督スタンスで臨むのかも注目されます。

オフショア型の国際金融都市としてのチューリヒの機能はスイス経済に不可欠である一方で、同様な問題が繰り返されるようでは国内の政治が持たないリスクもあるように感じます。
政府が株主承認の手続きをすっ飛ばし、社債権者を株主より完全劣後させるという、前代未聞の強硬手段でディール成立させた。

これが果たしてシステミックリスクを防ぐためなのか、国家の基幹産業である銀行業を、その看板企業の同行を守るという国家エゴのためなのか、どちらのモチベーションが強く働いたのか(結論両方だと思うが)により、これが英断とも、経済史に残る暴挙という見立てとも、いずれもあり得るだろう。
UBSによるクレディスイスの買収がアジアのマーケットが開く前に決まったとのこと。SVBの買い手もそろそろ決まりそう。どうなるか注目が集まります。
「政府はUBSが買収する資産から生じ得る損失に対し90億フランの保証を与える」
 (@@。
かつて日本長期信用銀行、日本債券信用銀行等が不良債権を抱えて行き詰った折、日本では引き受け手が見つからず(いやたぶん、日本の他の銀行にそんな損失補償を与えたら起きるだろう世論の批判に耐えられず)、日本政府が潤沢な損失補償を外資系ファンドに与えて大儲けさせたことがありました。スイスでは同国内のUBSが損失補償と引き換えにクレディスイスを引き受けるわけですね。
私が銀行に入って国際部門で働き始めた1980年当時、スイスの3大銀行(スイス銀行、クレディスイス、UBS)は本当に輝いて見えました。徹底した守秘義務を貫いて世界の富裕層の富を集め、実に堅実な経営をしていたのです。その後、スイス銀行とUBSが合併して規模を大きく拡大し、私が当該銀行の国際金融法人部長をしていた2000年前後でも、クレディスイスとUBSは大きな力を持つ健全な銀行でした。不良債権問題が持ち上がって日本の銀行が外貨資金調達に苦労していた当時、日本向けの外貨資金枠を絞らないよう頼み込んだこともありました。
その後、世界で銀行規制が次第に厳しくなって秘密のベールに閉ざされたスイスの銀行の行き方が問題にされはじめ、新たな収益源を求めるためか、スイスの銀行は米銀の独壇場であった投資銀行業務に富裕層ビジネスのノウハウを活かして乗り出して行きました。ところがそこは生き馬の目を抜く厳しい世界で、本源的なドル資金を持たず情報量も劣る米国外の銀行が、簡単に勝てる市場ではありません。そこにのめり込んで大きなリスクを取ったクレディスイスが体力を失って、ついにUBSに呑み込まれることになったわけですね。そのUBSも、同じく危うい思いをしたことがあったはず。UBSが我が国に華々しく進出していた折に、式典やパーティーに招かれた身は隔世の感を覚えます。
高リスクの取引にのめり込み過ぎたクレディスイスは特殊な例かもしれませんが、従来の国内ビジネスに行き詰り、本源的な外貨資産を持たぬまま海外ビジネスのウェイトを高めているのは我が国の銀行も同じです。スイスや我が国に限らず、大規模な金融緩和が生んだ歪が金融システムのそここに溜まっていることは、たぶん間違いなさそうな・・・ (・・;
①当初提示の10億スイス・フランの3倍(30億スイス・フラン)で買収する代わりに、②その買収価格の3倍(90億スイス・フラン)の補償をUBSが買収する資産から生じ得る損失に対して与え、③33倍に相当する流動性支援をスイス国立銀行(中央銀行)が提供するというパッケージ。UBSにとって悪い話では無さそうです。同時に、④スイス当局にとっても、国有化という重荷を背負わずに事態を打開できる。スイスの金融界には知恵と、それを形にする老練さがまだまだ備わっていたということです。日本の金融庁も、来るべき地銀の再編や、デジタル化に乗り遅れて埋没し破綻する可能性のある金融機関への対応に向けて、この事例やSVBの破綻処理プロセスから必死に学んでいるはずです。その成果が生かされることを期待します。
ユニバーサルバンクも経営者の舵取りによってここまで悪化するとは。損失、不祥事、幹部交代、訴訟・・・。何が原因で、こういう状況になったのか、今後のために解明する必要があります。