2023/3/14

【大量解雇】テック大手で「夢のある事業」から切られる現実

INDEX
  • 「未来志向」は危険な賭け
  • コスト削減で部署ごと切り捨て
  • トップ交代で方針が180度転換
  • 「失敗」はもう許されない
  • グーグルの治外法権「X」の凋落
  • 「ブレない」メタの命運やいかに

「未来志向」は危険な賭け

ここ何年も、ハイテク企業の大手では、部外者にはあまりピンとこないような特殊プロジェクトが「トップの肝いり」で進められてきた。
そして、これらのプロジェクトに携わることは、従業員にとって名誉なこととされてきた。
グーグルは眼鏡型のAR(拡張現実)デバイスを、アマゾンは独自のハイエンドスマートフォンを開発。フェイスブックは社名をメタに変え、メタバースという仮想世界の構築に突き進んだ。
この手のプロジェクトが頓挫したとき、従業員は社内の別の部署に異動するのが一般的だ。失敗に終わった製品やアイデアのリスクは、従業員ではなく企業が負う──少なくともこれまではそうだった。
だがこの数カ月、ハイテク企業が大量解雇に踏み切るなかで、社運を賭けたプロジェクトに携わることは、従業員にとって分の悪い賭けになりつつある
いまや各社では、利益を生むまでに何年もかかりそうなグループが、真っ先に人員削減の対象になっている。
アマゾンではドローン運送プロジェクトもリストラの対象になった(Peter Endig/picture alliance via Getty Images)
アマゾンでは、音声システム「アレクサ」やドローン、無人店舗に関わるチームが解雇の対象になった。これらはすべて、創業者ですでにCEOを退任しているジェフ・ベゾスの肝いりだったプロジェクトだ。
グーグルでは、自律走行トラックをはじめとする、いわゆる「ムーンショット」狙いのベンチャー事業にメスが入った。いずれも創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが支持していたプロジェクトだが、この2人もすでに経営から身を引いている。

コスト削減で部署ごと切り捨て