米ファイザー、がん治療薬のシージェン買収 430億ドル
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同じ話題なので、以前のコメントを貼らせてもらいます。
https://newspicks.com/news/8159227?ref=user_6189022
シージェンは、抗体薬物複合体に強みを持ちます。高橋先生の書いておられる通り、がん細胞に特異的に発現しているタンパク質などに選択的に結合する抗体は、現在、抗体医薬品として多く上市されています。
通常の抗体医薬品は、抗体に結合してその作用を邪魔するという作用を持ちますが、それでは、作用が弱い場合があります。そこで最近注目を集めているのが、抗体薬物複合体です。標的に結合する抗体にリンカー(ひもの役割を果たす分子)を介して薬物を結合させ、癌細胞に対する殺傷力をあげるものです。
そこで使われる薬物は、言わば細胞に対する強力な毒ですが、そのまま医薬品として使うと正常細胞に対する作用も強く出てしまい、使いにくいものです。そこで、標的分子に特異的に結合する抗体と、細胞に対する強力な毒を結びつけることで、両者のいいところ取りをするのが抗体薬物複合体ということになります。
抗体薬物複合体を作る上では、抗体の部分、薬物の部分、それを結びつけるリンカーの部分、それそれが十分に機能を果たさなければいけません。
実は、日本の第一三共も抗体薬物複合体を全面に押し出してきています。第一三共の場合は、薬物の方にまず、以前から研究していたデルクスカンという細胞に対する強力な毒を使い、患部に達してから適切に分解されるリンカー部分を探索・設計することで、有望な抗体薬物複合体を作り出しました。エンハーツは既に乳がんに対して承認を得ています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/medchem/28/1/28_16/_pdf/-char/ja
https://www.daiichisankyo.co.jp/investors/individual/cancer/
シージェンの場合、CD30、LIV-1など他であまり狙われていない標的に対する抗体を使っているところに特色があると思います。また、リンカーの設計は極めて重要だと思います。米ファイザー、抗体薬物複合体(ADC)のパイオニアであるシージェン(Seagen)を430億ドルで買収すると発表。
ADCは、癌細胞だけに結合する抗体を従来の薬にくっつけることで、癌細胞だけを攻撃するようにしたもの。
理論的には、低分子化合物であれば抗体をくっつけることで抗がん剤の副作用を激減又はなくすことが可能になり得るが、体内で抗体と薬の結合が切れてしまうことで毒性がみられたり、抗体が標的にできる癌細胞が限定的であるなどの課題は残る。
https://www.daiichisankyo.co.jp/files/investors/library/materials/2017/pdf/ミーティング資料%20(2).pdf
ファイザーは、シージェンを含む最近の買収により、2030年には計200億ドル以上の売り上げが見込まれるとしている。ファイザーは最近、米グローバル・ブラッド・セラピューティクス(54億ドル)、米バイオヘブン・ファーマシューティカル・ホールディングス(116億ドル)、米アリーナ・ファーマシューティカルズ(67億ドル)を相次いで買収している。
ファイザーのがん領域のポートフォリオは、すでに24の承認された治療薬を持っている。シージェン買収により、リンパ腫治療薬「アドセトリス」、膀胱がん治療薬「パドセブ」、子宮頸がん治療薬「チブダック」、乳がん治療薬「ツキサ」が加わる。
報道によると、ファイザーのライバルである米メルクも昨年、シージェンと買収交渉を進めていた。
https://answers.ten-navi.com/pharmanews/25211/究極のターゲッティングである抗体医薬の複合体。まさに鬼に金棒。がん早期発見のための簡易な検査方法ができれば更に健康寿命が伸びそう。内視鏡やバリウム検査は肉体的負担が大きいので。