【下剋上】天才数学者、「クラウド3強」に勝負を挑む
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取材をしていて、会社の製品や社風に創業者の思想や人格を感じることがあります。アカマイテクノロジーズも、そんな会社でした。
MITの応用数学の教授で共同創設者のレイトン氏は、物静かな紳士で、起業家というより大学教授のような佇まい。今後、成長を見込むクラウド事業も、大手の寡占によるクラウド費用の高騰を解決しようと参入を決めたそうです。ライバルはアマゾンなどのテック界の巨人ですが、アカマイは技術力と戦略的な価格設定で差別化を図ります。
大手寡占の市場は勝ち目がないと思いがちですが、クラウドの概念を変えて、新たな需要を開拓するとのこと。市場の動向も含めて、今後の展開を見ていきたいと思います。『アカマイ 知られざるインターネットの巨人』という本を読んだことがあります。
インターネットの表の巨人であるGoogleと、裏の巨人であるAkamaiは同じ1998年創業。
インターネットのコンテンツ配信をキャッシュするいわゆるCDN業者ですので、ネットインフラに関わる人しか意識する事のない黒子企業です。例えばWindows Updateみたいな大容量の同じ内容を多くの人に配るのに強いです。MicrosoftもAppleもAkamaiのお客さんのはず。
何故そんな独占的な立ち位置で居られるかというと、とあるビジネスモデル特許があったから。ISP (インターネットサービスプロバイダ) にAkamaiのサーバーを設置することでISPから上流にコンテンツを取りに行くことが減りますよというもので、これによって世界中のISPがAkamaiのサーバーを導入しています。中央に大きなキャッシュサーバーを置くのではなく、地域ごとに小さなキャッシュサーバーをたくさん置くので、エッジキャッシュと呼ばれています。
エッジキャッシュでは強みはまだあれど、クラウドサービスの方が主戦場になってきている昨今は存在感が薄れてきているかと思います。キャッシュも別に中央に大きいのがあればいいやというケースも多いはず。そのためAkamaiは近年はキャッシュよりもエッジセキュリティ(DDoS攻撃対策とか)を売りにしていました。
Linodeを買収したのは知りませんでした。老舗の格安ホスティング会社というイメージです。AWSなどに対抗するようなクラウドサービスになるつもりは無いように見えますが、どこまでやるつもりなのか気になるところです。アカマイ大好き人間です。
日本のメディア事業ではアベマが有名ですが、数多くのECサイトもアカマイを使っています。大量の画像データで全てオリジンサーバにアクセスされたらめちゃくちゃ重くなるし、費用も増えるからです。
アメリカではなんといってもAppleが有名な顧客です(でした?)
スティーブジョブスがレイトン教授に電話をかけて技術的な部分を評価して投資し、かつ、重要な顧客になった、と言うエピソードはとても有名です。
いよいよクラウドに参入ですね。CDNはクラウドサーバと相性がとても良いので、AWSを使うと容易にAmazon CDNであるクラウドフロントにアクセスできてしまいます。それを防ぎたいと言うのも大きいでしょう