米財務省など「シリコンバレー銀行の預金、完全保護」
コメント
注目のコメント
SBV、FEDとFDICの共同声明で、預金は全て保護され、月曜から引き出せると発表。
週末(にかかってラッキーだった)だけで、大きな決断に至ったのは、米国政府の金融システム全体の信用不安にしないという気合を感じる。
本件の根っこにある、まぁまぁ構造的な問題は残る。
今回の原因は、じゃぶじゃぶの金融緩和で、銀行の預かり資産が大きく増えた中で、銀行の貸出先増が追い付かず、債権への投資が大きく増えた。
そんな中、金利が急速かつ大きく上がり、債権価格が下落した。一気にBSが棄損して、自己資本比率が大きく悪化して、取り付け騒ぎまで発展しまった。
程度の差こそあれ、殆どの銀行が同じ構造で、米国政府は同じくBSが大きく傷んでいたNYのSignature Bankにも先手をうって同じ措置を適用した。
SBVの預金保護がなかったら、BSが棄損した他の(地銀的な体力のない)銀行に、不安になった預金者は走り、銀行システム全体の信用不安となっていただろう。
金利を上げると、銀行のBSが痛む/自己資本比率が悪化する構造は、債権を多く保有する銀行に共通の構造で、(日本の銀行がどれくらい債権を保有しているか調べていないが)日本でも同じ状況には陥りうる。
そして、それが益々、急速には政策金利を上げづらい要因にもなりえる。
と、いう意味では、日本でインフレが進んでしまうと、打てる手(金利の調整幅)は狭くなってしまっているのでは。
少しそれたので、スタートアップに関連する所に戻すと;
リーマンショックのような金融全体への信用不安は防げ、金融市場全体、経済全体がクラッシュするようなことはないだろう。
一方で、金融株全体へのセンチメントは悪化し、金利が下がるまではボディブローのように/程度に株式市場回復の重しとなるだろう。
米国では、ベンチャーデット最大手のSBVが、救済されたとはいえ破綻したことで、ベンチャーデットはスローダウンするだろう。
本来、日本のベンチャーデットへの直接的影響は限定的なはずだが、米国のふり見て我がふり直してしまい、日本の銀行(の経営陣)もコンサバに振れてしまうかもしれない。
急速に日本でも立ち上がっていたベンチャーデットも、今まで比べるとやや慎重になってしまうかもしれない(ゼロになるようなことはないが)。金土日の実質2日そこそこでここまで決定する能力、反射神経というか闘争本能にも近い意思決定能力が、同じような事が日本で起きた場合に発揮し得るのだろうか。
しかし週末の混乱を潜り抜け改めて、本件を総括するに、これは不必要な破綻だった。シリコンバレー重鎮達はその点よくよく反省して然るべしだ。実際に事が起きてから彼らは態度を一変させ、SVB支持だとか、ファウンダーを守れだバレーを守れだ綺麗事というかどの口でという我儘を言い出したわけであるが、彼らVCや具体名が出ている超有名人らが取り付け騒ぎを煽動した張本人でありそれがなくば少なくともここまで極端な事は起きなかったはずである。白々しい傍若無人の誹りは免れないのではなかろうか。
一方でSVB経営陣の杜撰な経営も問題ではある。その意味で大きな痛みを伴わず膿を出せた事は幸運だったのかもしれない。が、それでも金融当局者の能力があと少しだけ足りなければ惨事もあり得た故に冒頭の反省はしかるべしではある。
SVB経営の不味さと取り付け騒ぎとは分けて論じられるべきで、いつなんどきであれ取り付けの煽動などやってはいけないのである。どんな優良な銀行だって、例えばハイパーインフレ論に慄いた日本国民が銀行に一斉に駆けつけたら破綻など簡単に起き得るのだから。そしてそれを必ず国家が保証してくれるとは限らないのだから。預金は全て保護、月曜日から現金を引き出せるとのこと。これである程度の銀行破綻の連鎖、スタートアップの大量レイオフが免れることを期待したいですね。
個人的には、発表では税金から負担されない、と記載されていたのですが、債務超過なはず(SIVBの満期保有目的の債券の時価が預金額を下回っているのであれば純資産がマイナス、つまり債務超過)なのでなぜ?と思ったのですが、このツイートで仕組みを理解できました:
https://twitter.com/realtypnw/status/1635051217817862144