2023/3/8

【痛恨】「H3」1号機、人工衛星を軌道投入できず

NewsPicks 記者
ようやく産声を上げたかに見えた日本の新型ロケットに、厳しい結末が待っていた。
H3ロケット試験機1号機は7日午前10時37分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられたが、搭載していた地球観測衛星「だいち3号」を予定の軌道に投入できず、ミッションは失敗した。
H3は現行の大型ロケット「H2A」の後継機として、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が約9年をかけて開発。新型エンジンの開発が難航し、当初予定していた20年度から打ち上げの延期が続いていた。
先月17日にも打ち上げを試みたが、発射直前に機体制御装置の誤作動で中止に。地上設備とロケットを電気的に切り離す際に発生したノイズが原因だったことが判明した。
ノイズを防ぐ対策を施して、なんとか22年度中の打ち上げにこぎ着けた矢先、今度は大事な人工衛星を失うという取り返しのつかない事態となってしまった。
JAXAは、22年10月にも同じく国の基幹ロケットとして位置づけられている「イプシロン」6号機の打ち上げにも失敗しており、日本の宇宙政策にも影響が出そうだ。
H3の開発は今後どうなっていくのか。JAXAの記者会見の内容と専門家のコメントをもとに解説する。
INDEX
  • 「魔物」は第2段エンジンに
  • 専門家「珍しいケース」
  • 国際競争力に暗雲?
H3ロケットの打ち上げ失敗後、記者会見で謝罪するJAXAの山川理事長(右)と布野理事(3月7日午後、JAXAの配信動画から)