【解説】2020年代の「ファッショントレンド」を見通す

服のカジュアル化は不可逆なものと思い込んでいたところがあったのですが、トレンドは揺り戻しがあるのですね。

確かに、コロナがあけてきて、リアルなイベントなどが激増して、ちゃんとした服を買わねば足りないという事態が自分でさえ起きています。

コロナ前に来ていたスーツとかもあまり時代に合わなくなってきた感じもしていて、、今の悩みの一つです。

季節も変わりますし、これを機にもう一度自分のクローゼットの中を恥ずかしくないようにリフレッシュしようと思います。

読者の皆さんはいかがでしょうか。

流行論の一説では、とくにファッションの流行を形成する要素として「同調」と「差別化」が両立するアンビバレントな消費者心理の存在が言われています。例えば、“ベージュのトレンチコート”の中で”裏地”が個性的なものを選ぶといったように、守るべきルールという側面での同調（＝模倣）と、その範囲内で逸脱しない程度の差別化（＝個性化）、言い換えれば「ちょっと違う私」が、多くの消費者によってスパイラル的に求め続けられることで流行が形成されるというものです。

そうした観点では本記事で触れられている「テーラーメイドへの回帰」は大変興味深いものだと感じます。

記事に基けば、19世紀以前は上流階級が一般階級に権威と金銭格差を見せつけるため極上の特注品（オートクチュール）が流行した、徹底的な差別化重視の時代だったと言えます。20世紀は周囲への配慮を前提とした既製品（プレタポルテ）が流行した、より同調が重視された時代。

そして21世紀はテーラーメイドの回帰。一説では、オートクチュールとテーラーメイドはともに”オーダーメイド”の意味であって言語表現の違いとも捉えられますが、記事での定義を踏まえれば、オートクチュールが素材の質にまでこだわり抜いたオーダーメイドであるのに対して、テーラーメイドは質の優先度を落とした形重視のオーダーメイドなのでしょう。シンプルに“より気軽なオーダーメイド”と解釈してみると、再び19世紀のような差別化・個性化の時代に戻ったということなのかもしれません。

しかし、19世紀以前のオートクチュールと異なるのは、素材開発や縫製技術の進化を背景に、大量生産で高機能かつ安価な既製の生地素材の生産が可能になったことが手伝って、素材（＝機能）ではなくシルエット（＝見た目）にオリジナリティを出すという点です。オートクチュール時代が素材まで含んだ徹底的な個性化時代であったことと比較すると、現代は、見た目にはわからない機能部分で弱い同調をしつつ、一人一人コンセプトが異なるよう見た目部分で強い差別化が志向されている時代になっている、こんな考察もできるのかもしれません。

ちなみに、消費の10大費目の中で、最もウェイトを下げたのが「被服及び履物」です。
日本人が最も節約した支出が「ファッション」と言えるかもしれません。

まさにZ世代そのものですが、今のビジネスに必要な要素ばかり。
こうするとわかりやすいかと。
「上下格差を感じさせない、人を威圧し排他するような強いものではない、好感を持たれるようなもの。」
「今求められるのは、美しくあることは当然として、社会の要請に応え、エシカルであり、インクルーシブであるものという複数のハードルを乗り越えたものです。」

全く門外漢の素人からすると、トレンドはあるというより作られる、つまり「これがトレンドだから乗り遅れたくない」トイいう人たちによって成り立っているように見えます。とすると、一部の伝道師（今時で言うとインフルエンサー）が作っているのか、それとも、インフルエンサーも何かに影響されているのか。。。。

周りを気にしないようなカジュアル化が許されたのは、より優位な立場でいることができる若い白人男性だけ。
もし女性や、黒人、年配の男性が「寝床から出てきたような服装」でまともな建物に入ろうとしたら、警備員に止められます、の部分。ハッとさせられました。そう、カジュアルは優位性保持者にのみ許されるところがありますよね。
私も素材に難があるため、せめてこざっぱりしていないとという意識から、そして自身に気合いを入れるため、リモートでもジャケットを着たりしています、下はレギンスですが。
テーラード回帰、本当に到来していたんですね。面白い。

20世紀回帰のあたりを特に興味深く読みました。

ちなみに、ヨガウエアのグローバル市場規模予測はこちら。2022年の246憶ドルから2028年は1.5倍ほどの399億ドルへ。
https://www.statista.com/statistics/1227325/revenue-of-the-yoga-apparel-market-worldwide/

ファッションのトレンドを俯瞰する上で、レギンスからモーニングまでとても面白い分析ですね。Ｚ世代の行動を見ていると情報はネットから得て、個人ばらばらのように感じる「共感」も、実はネット上のトレンドで作られている部分が大きいのではと思います。

先週、GUから“GU and beautiful people”という限定コラボコレクションが発売され、瞬く間に完売しました。

コンセプトは「“青春”をコンセプトに、若者にとっては新鮮で、大人にとっては懐かしさを感じられるコレクション」でしたが、まさに常識にとらわれないうえで、懐古≒クールという感覚でしょうか。

ジェンダーレスというのも新しいコンセプトですが、トレンドは「生活者」 or 「アパレル業界」どちらが作っているのか？と感じるところもあり、個々がコンセプチュアルスキルを持たないとトレンドに流されがちになる潮流がアパレル業界に存在しています。