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レジオネラ菌というのは肺炎を起こす主要な細菌の一つですが、感染者の最大4割程度までが集中治療室での治療が必要となり、致死率は1%から最大で10%とも報告される「大した」菌なので、誤解のないようにお願いしたいところです。

水によく生息する細菌なので、水の入れ替えが十分でない温泉やご家庭では加湿器などで問題になることがあります。
公衆浴場やサウナなどの施設、家庭用浴室(特に循環型の浴槽設備)、加湿設備のある場所で、度々レジオネラ菌による死亡を含む事故が起こっています。保健所の重点指導項目のはずです。温泉を管理する方々にはレジオネラ対策の重要性は周知されていたはずですので、旅館の発言には首をかしげたくなります。感染源は飛沫化した水滴とされ、ヒトからヒトへの感染は認められないとされています。
レジオネラは、急速に重症化する特徴をもつレジオネラ肺炎を引き起こします。自然環境下の水や土壌に広く分布していますが、温泉やビルのクーリングタワー、水冷式空調設備の冷却水中などで増殖し、それが散布されると集団発生が起こります。日本では特に温泉での集団発生が問題になっています。

レジオネラは4類感染症に分類され、全例が保健所への報告対象になっています。報告をもとに、保健所は発生源の特定などを行います。
当然ながら、事実認識の誤りや法令の不知は、違法性を阻却する事由にはなりません。

これまで、換水の頻度について、虚偽の報告をしていますので、旅館業法上、50万円以下の罰金(11条)や、営業許可の取消しや一時停止(8条)の可能性があります。そして、利用者が実際にレジオネラ症を発症しておられますので、刑法の業務上過失致傷(211条)や、民法上の損害賠償請求(709条)等の対象となる可能性もあります。

厚労省健康局で旅館業法を担当していた身としては、率直に言って、この旅館だけではないだろうという心配がある(レジオネラ菌が基準値以上検出されるケースは少なくありません。)とともに、改めて考えるべき点として、もし当該規制(※)が、コストや手間の観点等から現実的なものでなく、かつ、技術の向上などで、頻度を緩和しても衛生水準が十分に保てるものなのであれば、見直しもあり得るのか、といった点について、実際に利用者の健康を守るという観点から、検討が必要かもしれません。

(※)衛生水準を保つための具体的な措置については、各都道府県の条例で定められており(旅館業法4条2項)、「浴槽水は、原則一日に一回以上完全に換水すること。ただし、連日使用型循環浴槽を使用する場合にあっては、一週間に一回以上完全に換水することをもって足りる。」とされている場合が多いです。

もちろん、手間やコストをかけて、真摯に法令を遵守されている旅館もちゃんとあり、そうしたところまで、世間から疑いの目で見られることは、大きなマイナスだと思います。