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東京の桜開花なぜ早い、今年も全国トップ予想…気温上昇だけでは説明つかず

読売新聞
【読売新聞】 桜前線の上陸まであと1か月。気象情報各社が開花予想を相次ぎ発表している。暖かい地域から咲き始めて徐々に列島を北上する中で、目を引くのが東京の開花の早さだ。今年は九州などを抑えて、全国で最も早いとの予想もある。それほど南
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確かにここ数年、桜前線の中でも東京の開花だけがやけに早いのが気になっていました。「ヒートアイランド現象がすごすぎるのかな」と思っていたのですが、東京が大都会なのはそれはここ数年に限らない話なので、いわれてみればヒートアイランド現象だけの問題でもなさそうですよね。樹齢などほかの要因もあるかもしれないというのには確かに納得です。
桜の開花は一般に暖かいところほど早いですが、一方で桜のつぼみ(花芽)が冬場の寒さに晒され、休眠から目覚めて成長を始める過程(休眠打破)も重要です。一般に九州など暖かいほど桜の開花が早いイメージがありますが、休眠打破が早ければ桜の成長も早くから始まりますので、休眠打破の早さとその後の暖かさが両方揃うところが結局桜の開花の早さにつながります。
そういう意味で、東京は九州や高知と比べて冬場の気温が低く、しっかりと休眠打破していると思われますし、一方でここ数十年のヒートアイランドの影響もばっちり受け、桜のつぼみの成長も早いということになると考えられます。

また記事中にもありますが、標本木の個体差も考慮する必要はあります。気象台から近いところで、周辺の環境が変わりにくい場所の中から標本木を選ぶわけですが、基本的にはその一本の木を対象に追いかけることになりますので、標本木自体の老化や環境変化によって標本木が変わると、開花日の傾向が変わったなどと言う話も耳にすることがあります。複数の標本木を追いかけるようにしてもよいのですが、それはそれで今までのデータとまったく中身が変わってしまうことになるので難しい話となります。

ただし東京の標本木である靖国神社の桜については、確かにいわゆる街中の桜と比べて開花がやや早めな印象はありますが、一方で数日もずれているかというとそうでもなく、開花宣言が出たときには日なたなど環境の良い場所の桜はやはり開花し始めている印象もあります。東京の桜の開花日の傾向としては、やはり標準木の個体差によるものというよりは、東京の気候の条件が桜の開花を早めているという要素のほうが大きそうです。

最近はソメイヨシノも病気や樹勢の弱さが問題となることが多く代替品種に植え替えられるケースもあるようで、東京の標準木も時代とともに変わることになるのかもしれません。個人的には入学式に桜が咲いているのが好きなので、開花時期が長い品種がたくさん植えられるといいなと勝手に期待しています。ソメイヨシノの儚さもまた魅力のひとつではありますが。