世界最大手の半導体メーカーTSMCはこうして生まれた
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1985年に日経マイクロデバイスを創刊した頃、米国のジャーナリストから、スタートアップフィーバーだな、と言われるほど、ファブレス半導体企業が生まれました。それを見たモーリス・チャンがファウンドリービジネスを決心したと聞きました。ファブレスとファウンドリーが上手くウィン・ウィンの関係ができました。その時の日本の半導体企業は、やれるものなら、やってみな、という態度でした。モーリスがインテルや日本企業に出資をお願いしに訪問した時、けんもほろろに断られました。唯一出資したのがオランダのフィリップスでした。フィリップスから追い出されたASMLにTSMCは今でも恩を感じていまして、ASMLもTSMLに最優先してEUV装置を出しサポートしてきました。サムスンがEUVを使いこなせていないのは、ASMLのサポートで出遅れたためです。
Morris ChangがいなければTSMCは生まれなかったし、Morris Changに台湾政府が賭けなければTSMCは生まれなかった。
そして、もしTIがMorris ChangをCEOにしていたら、TSMCは生まれなかった。ファブレス・ファウンドリーモデルでさえどうなっていたか…そして、米中関係や台中関係でTSMCを含めた半導体産業がキーとなっており、米国にもファブを作っているという経緯は、本当に興味深い。
なお、下記については、TIのCEOについていないが、ロバート・ノイスやゴードン・ムーアと肩を並べる半導体産業の王者といっても、誰も否定しないのではないだろうか。
『彼が希望どおりテキサス・インスツルメンツのCEOに就任できていたら、ロバート・ノイスやゴードン・ムーアと肩を並べる半導体産業の王者となっていただろう。』半導体のファウンドリーとして確固たる地位を築いたTSMCを電池に敷衍すると、バッテリー・ファウンドリーを謳うNorthvoltやFREYRが思い浮かびますが半導体と電池は異なります。
先ずは集積といった、ロードマップが書けるような業界共通の開発の方向性が、電池の場合には有るようでありません。
次に原材料が決まっていて製法も確立しているかどうかですが、材料探索が不可欠なバッテリーは製法が確立してません。
また製造装置がハイテクかローテクかも異なります。ハイ&ローでは無く適用技術がアナログかどうかで考えると分かりやすいかもしれません。電池の製造装置はアナログです。
ですのでTSMCの時と同様に、バッテリー・ファウンドリーを先物買いするのはあり得ないですが、現在の中国を意識した世界各国の国家資本主義を鑑みると、国をバックに付けているNorthvoltは、ファウンドリーとして機能するかは別として、生き残る可能性はあると思います。