【警戒】テック大量リストラで消える、「偽情報の門番」たち
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コンテンツモデレーターという、ネットのコンテンツを管理する「門番」が大量リストラの名の下に、削減されているというニューヨーク・タイムズのレポートです。
アメリカの通信品位法第230条というものが長年、ビッグテックのプラットフォームを守ってきました。
この法律により、FacebookやYoutTubeなどのプロバイダは、第三者(ユーザー)が発信する情報について原則、責任を負いません。また、不適切なコンテンツを削除した場合もその責任を問われませんでした。
そこには「言論の自由を守り、プロバイダが検閲することを防ぐ」という見方と、一方では、「プロバイダが不適切なコンテツをのばなしにして、それらが蔓延する」という見方もあります。
ではどちらが正しいのか、プロバイダはどこまで責任を果たすべきか。そのポイントについて争われる最高裁の審理が2月21日に行われます。
これは、SNSが大きく変わらなくてはいけなくなる可能性があり、大きな注目を集めています。(※この件については、今週末に詳しくお伝えします!)
その状況の中において、逆行するようなビッグテック各社の動きはとても気になります。この記事の指摘以外にも影響が懸念されるのが、ファクトチェックやメディア・リテラシーの実践や普及に取り組んできた組織へのサポートの縮小。日本ではあまり知られていませんが、GoogleやFacebookはここ数年、これらの世界的な動きに資金面で大きな貢献をしていました。この流れが変わるかもしれません。
僕は2013年から毎年のようにジャーナリズムやファクトチェックなどに関する国際イベントに参加してきました。ソーシャルメディアに関する潮目が最初に大きく変わったのは2016年。アメリカ大統領選で誤情報の大拡散が問題になり、ニュースメディアにとって新たなオーディエンスにリーチする場としてのソーシャルメディアへの期待が急速にしぼみ、規制が必要だという論が急速に強まりました。
2022年は振り子が逆に振れた年として記憶されるでしょう。Twitterは反規制論者のイーロン・マスクのものとなり、業績悪化による人員削減はこの記事が示すように規制を担当するチームにも及んでいます。この流れで言えば、誤情報対策に対する予算そのものが縮小されていっても、おかしくありません。では、誰が支えるのか。答えはまだ見つかってません。広告収入が伸び悩む中、どんなコンテンツでも、広告収入が伸びればいい。という風潮に変わっているのかもしれません。
偽情報でも過激なコンテンツでも、アクセス数が多くなればいい、という社会倫理を怠ったつけは、かならず跳ね返ってきます。たとえ一時的に収益が改善したとしても。