アングル:被災地支援のルート拡充に同意、シリア政権の目論見は
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シリアは、2011年から続く内戦によって孤立してきました。イランとロシアを後ろ盾にして内戦を勝ち抜き、50万人もの死者を出し、800万人が難民として国外に出ました。
人口2000万人の国で、です。
シリアの経済は壊滅的で、覚せい剤の合成と密輸出が主な産業になっています。
欧米諸国から見て、シリアのアサド政権は、数十万人規模の虐殺と拷問を続け、イランの国際麻薬流通網の拠点となり、許すべからざる相手です。
しかし、300万人のシリア難民を抱えてとにかく送り返したいトルコや、周辺アラブ諸国はまた別の見解を持っています。
シリア産合成麻薬が最も蔓延しているのはサウディアラビアですが、シリアをいつまでも今のような麻薬国家にしておくよりは、経済制裁を解いて、農業なり、まともな産業をさせた方がましといえます。
今回、最も活発に動いているのは、UAEの大統領(=アブダビの首長)です。
まずシリアに飛んでアサドに会い、そこからワシントンに飛んで、米国国務省と話をつけました。国務省の災害支援担当者もシリア入りしてアサドと会いました。
これにより、サウディアラビアからの支援がシリアに飛び、国際機関や諸外国からの支援もシリアに入るようになりました。
シリアは、ロシアとイランと北朝鮮の同盟国で、凄惨な弾圧を続ける権威主義体制のままですが、UAEとその同盟国のサウディアラビアとしては、この地震を好機として、シリアの国際関係を正常化して、経済的な協力を進めたい方針です。
その際、イランがシリアから手を引くようにできれば、イスラエルとしては文句はないでしょう。むずかしいでしょうが。
この機会にシリア難民をシリアに送り返すことができるなら、トルコのエルドアン政権は、UAEに対して大いに恩に着るでしょう。