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心筋が細胞分裂により形成されるのは生命が誕生するまでで、その後は細胞分裂はみられないとされています。再生医療は多くの領域で期待されていますが、これが心臓の再生医療が特に期待されている理由です。

心臓は細胞レベルの寿命が生命の維持を決定すると言われており、心房細動などの異常により高い脈拍数が長期間に続くと心筋の疲弊から機能不全(心不全)が起こりやすくなるとされ、また心臓の重要な血管が詰まると詰まった周りの心筋に酸素が供給されずに壊死を起こしても、心不全が起こりやすくなるとされます。先に書いたように心筋が自力で再生することがないため回復は難しく、心臓の負担を下げるための医薬品で対症療法を行うか、機能しなくなった心臓の一部を切り取り、容積を縮小させることにより新機能の改善を行うなどの治療がおこなわれています。

心臓に対する再生医療は、このような治療を根本的に変える可能性があることから積極的に取り組まれている分野です。これまでに幹細胞から作られた細胞シートを移植する手術は行われていますが、今回は球状に作られた細胞で臨床試験が行われました。多方面から成果の蓄積が行われており、この領域の発展が期待されます。
iPS由来で心筋細胞に分化させて移植する取り組みは他社でもありましたが、当社がユニークなのはこれをカテーテルで打ち込むというところです。開胸して貼り付ける形であると2回以上の手術は負荷が大き過ぎて無理ですが、カテーテル投与ならば複数回の投与も可能です。

最終的なコストの点と、未分化iPS の癌化リスクをどうマネージされていくか、なかなか定着しにくい心筋細胞が実際に患者さんの心臓内に定着し続けるのか、など今後の開発進捗発表はとても興味深いです。

再生医療は日本の威信を賭けた技術ですので、関連するスタートアップ各社にはぜひ大成功して頂きたいと願っています。
Heartseedは昨年のシリーズCで国内バイオスタートアップでは異例の規模となる40億円を調達しています。株主にはSBIインベストメント、東大IPC、AngelBridgeなどバイオ投資で有名なVCをはじめ、アステラス製薬CVC、メディパルHD、澁谷工業(iPS細胞を用いた再生医療の機械装置メーカーとして世界トップレベル)なども名を連ねています。

慶應医学部循環器内科で教授を務めていた福田氏が技術シーズの事業化を目指して設立したというのは珍しく(日本だと教授が会社設立できなかった)、ビジネスサイドがわかる元ベインの安井氏が取締役COOとしてタッグを組んでいます。
Heartseed:https://heartseed.jp/